共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。
設立当初から女性従業員が多く勤めるスターバック スコーヒー ジャパンでは、要望が出る前に制度を整えるという、先回りの仕組み作りに力を入れてきました。離職率の高い飲食業界の中で、低離職率を維持しているスターバックスでは、正社員はもちろん、アルバイトも「出産を機に辞めます」という方は少ないそう。
今回は人事本部の下青木聖子さんに、全てのスタッフが「長く働きやすい」会社の仕組みづくりについて伺いました。
PROFILE:下青木聖子さん
時短勤務や転勤の有無を選択可能に。子育て中の社員の理想的な働き方を模索
——スターバックスは、女性従業員の比率が多いと伺っています。育児と仕事を両立するための制度作りはいつ頃から取り組まれていたのでしょうか?
下青木さん:
現在店舗では女性比率が全社員の約7割となっています。1996年にスターバックスが日本進出を果たした当時から女性従業員は多く、2005年頃から「出産適齢期に入る女性社員が今後増えてくるだろう」という予測を立て、産休や育休を含め、育児との両立へのサポートに早めに着手しました。
——「育児と仕事が両立できる職場づくり」に先回りして取り組んでいたということですね。
下青木さん:
そうですね。「出産を機に仕事を辞めます」という声が上がる前に制度を整えたので、その点での課題はほぼないように感じています。
また、初めての「ママさん店長」の就任に合わせて、「時短で店長業務が可能か」「週5勤務ではなく、週4勤務で仕事に支障が出ないか」など、店長業務を担うストアマネージャーが、育児との両立をするための働き方を検討しながら、柔軟に制度を見直していきました。
仕事と育児を両立しているストアマネージャーの姿を見て、次第に「店舗運営をしながら子育てができるんだ」という意識が定着し、「私も育児をしながらキャリアを積みたい」という声も増えていきました。
——「ママさん店長」第1号の方がロールモデルとなったのですね。
下青木さん:
その後も育児をしながら店長業務を両立する社員が増えてきています。また、以前は店舗勤務の社員においては「全国転勤あり」としていたのですが、育児をしている方が転勤をするということは、現実的ではないだろうということで「転勤なし」の配慮をするようになりました。しかし一方で「同じ正社員でも子育てしていると転勤なしなんだね。ママさんはいいな」という声も生まれてくるわけで…。
それならば「自分の意思としてキャリアを選択できるようにしよう」ということで、2014年に「転勤あり」の全国転勤型か「転勤なし」の地域限定型かを選べるようにしました。「私がこういう働き方を選択している」と言えれば、後ろめたい気持ちも、羨ましい気持ちもなく一人一人が胸を張って働けると思ったからです。