祖父母や親戚からもらう、子どもへのお小遣いやお祝いのお金。こうしたお金をどう管理していますか?親が預かる家庭が多いようですが、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「子どもに管理させたほうがいい」と言います。その理由をたずねました。
子どもがお金を管理するメリットは?
祖父母や親戚からの小遣い、お祝い金やお年玉をもらうとき、横山家では、親が黙って預かるのではなく、子どもに渡すようにしています。
なぜそうしているのかというと、お金を自分で管理することは、将来、お金を有効活用する上で必要な考え方を身につけられる、またとない機会だからです。
その考え方とは、次の2つです。
- 自分が使えるお金には「限り」があること
- お金を使うときは本当に必要かどうか、考えて買うこと
ただ単に親が預かるだけでは、これらの考え方は身につきません。せっかくの教育の機会をムダにしているといえるでしょう。
こうした金銭感覚を身につけるために、横山家では次のような方法を実践しています。
貯金する金額と使っていい金額の割合は?
まず、我が家では、子ども一人ひとりに銀行口座を用意しています。社会人から小学生まで6人の子どもすべてが、生まれた頃から自分の口座を持っています。小中学生は、ネット通帳の残高を自由に見られるようにしています。
お祝い金やお年玉をもらったときに貯金するための口座ですが、単に貯金するだけではありません。いくらを手元に残して、いくらを貯金するかを話し合います。
たとえば、もらったお金の総額が3万円だったら、「3000円を手元に残して、あとの2万7000円は銀行に預けよう」などと話し合うのです。手元に残した3000円は好きなものを買って良いことにします。
こうすれば、お金のやりくりをする経験を積むことができます。また、預金通帳にお金が貯まっていくのを見ることで、貯金をする楽しみも味わえるというわけです。
子どものムダづかいを防ぐ横山家のルール
ただ、預金通帳を見て、まとまったお金が貯まっている状況を見れば、子どもは「おもちゃやゲームにお金を使いたい」と言い出すかもしれません。少しぐらいなら問題ありませんが、親としてはほどほどに抑えたいところでしょう。
「あれもこれも買いたい」という気持ちを抑えるには、「目先のことだけ考えてお金を使ってしまうと、将来、自分が困る」と理解させる必要があります。
そこで、横山家では「大学や専門学校の学費や留学費用は、自分で一部負担する」というルールを設けています。ルールの一番の目的は、「学業に対して真剣に取り組んでもらう」ため。少しでも自分が負担することで、親が全額負担した時に比べて、本気度がまったく違ってくると考えています。
そして、もう一つの目的が、「将来のことをよく考えて、お金の使い道を考える」習慣をつけるためです。
そのせいか、我が家の子どもたちは貯金をむやみに使おうとしません。横山家では、中学生以上になったら自分の銀行口座のログインIDとパスワードを教えているのですが、散財している子は一人もいません。
ムダづかいをしたら、将来、困ることがあるかもしれないとわかっているからです。長女と次女はアルバイトをしたお金をため、ムダづかいをしないよう気をつけながら、学費を半分ほど負担して大学に通いました。その姿を下の子たちが見ているので、説得力があるようです。
親から見ると、特にお年玉は親戚の子たちに払ったお金が戻ってきているようなものなので、「親がもらうのが当然」と思うかもしれません。しかし、子どもの教育を考えたら、「子どもに渡す」ほうがメリットが大きいのです。