「日本人女性の睡眠不足」が体や心に及ぼす影響と、その対策について考えるオピニオン特集。前回の記事「
毎日少しずつの睡眠負債が奪う「人間らしい生き方」」では、心身のあらゆる不調が睡眠不足から引き起こされていた可能性が明らかになりました。
そこで今回は、睡眠負債を解消し、夜寝たら朝までグッスリ眠る方法や、快眠体質になるための日中の過ごし方を、睡眠研究家として活躍する西川ユカコさんに教えていただきました。
週末の寝ダメ・寝坊は睡眠の質を悪くする!
——平日は十分な睡眠時間を確保するのが難しいという人も多いと思うのですが、週末にたくさん寝れば睡眠不足は解消できますか?
西川さん:
週末の寝だめはむしろ逆効果。土日に寝だめをしている限り、睡眠の悩みを解消することはできません。
平日の睡眠不足を土日で補うのが習慣化されてしまうと、自らが作り出した平日と週末に起きる睡眠の「時差」によって、海外旅行に行ったときのような「時差ボケ」を引き起こしてしまうんです。
この時差ボケの症状は「社会的ジェットラグ」と呼ばれ、睡眠不足のときと同様、脳の働きが悪くなり、パフォーマンスを低下させるだけでなく、心身にさまざまな支障をきたすようになります。肥満になりやすくなったり、生活習慣病やうつ病などの罹患リスクを高めることもわかっているので注意が必要です。
寝ダメより効果的な「30分前」睡眠
——週末寝だめをしても、体は回復しないんですね…。では、一体どうしたら睡眠不足は解消できるのでしょうか?
西川さん:
休日を特別扱いしないことが大切です。日頃から睡眠時間が短い人は、週末に寝だめをするのではなく、平日30分早く寝ることを意識してみましょう。
とはいえ、週末はどうしても遅くまで寝ていたいという人も多いですよね。平日と週末の起きる時間の誤差が2時間までであれば大きな問題はないとされているので、普段6時に起きている人なら、8時までには起きればセーフです。
また、午後も元気でいるために昼寝をするのはおすすめです。昼寝をするときのポイントは、12〜15時までの間に行い15〜20分程度に収めること。15時を過ぎたり、寝すぎてしまうのは夜の睡眠を妨げる原因となるので注意しましょう。
——仕事中だと横になって寝るのは難しいと思うのですが、座ったまま寝ても大丈夫ですか?
西川さん:
よほどムリな姿勢でなければ、基本的にはどんな姿勢で寝ても大丈夫ですよ。現実的には仮眠をとるのが難しい職種の人も多いと思いますが、昼間の仮眠は午後からのパフォーマンスアップにとても効果的ということを覚えておき、眠れるタイミングを見つけたら積極的に仮眠をとるようにするといいでしょう。