母親に対し、モヤモヤとしたわだかまりを持ってしまう女性が増えているといいます。大人になっても、母親とはわかり合えないと感じてしまうのはなぜでしょうか。今回は、母親がどんな考えを抱いているのか、その生き方について心理カウンセラーの石原加受子さんに解説していただきました。
他人の都合を優先して生きてきた母親世代
娘が母親を苦しいと感じてしまう原因は、母親の古い考えにあるといいます。
「母親たちは、“相手の気持ちを考え、周りに迷惑をかけないようにしなさい”と教えられてきています。たとえば、親や夫などに黙って従う生き方が主流だったためです。このように、自分の気持ちより、相手を重んじる思考を私は“他者中心”と呼んでいます」
こうした他者中心の考え方がよく現れている代表的な例は “結婚したら仕事を辞めて家庭に入らないといけない” 、“子どもは親に従わなくてはならない” 、“妻は夫の一歩後ろを歩くべき”といった古い固定概念です。
時代が変わっても母親の価値観は昔のまま
以前は、世の中全体が同じ意識を共有していました。そのため、自分を抑えて他の人を優先すると、相手も“お互いさまだから”と同じだけ譲り合い調和がとれていたのです。
「ところが、時代が変わり、今は個人の気持ちが重視されるようになりました。これは決してワガママになったわけではありません。社会が成熟し、それぞれが自分で考え、自立することを求められるようになったということです」
これまでのように自分を抑えても、相手がそれに合わせてくれません。この価値観の変化が、母親と娘との間に齟齬が生じる原因のひとつになっています。