デジタルネイティブ世代の子どもたちにとって、ゲームは日常生活から切り離せない存在です。

 

「ゲームのやりすぎはよくない」と言われて育った私たち親世代は、子どものゲーム利用にどう向き合えばいいのでしょうか。

 

特集「ゲームは悪なのか⁉︎子どもは『好き』で成長する」第4回目は、最近耳にする機会も増えてきたeスポーツについて。

 

eスポーツイベントの企画・運営などを手掛けるウェルプレイド株式会社の代表であり、5歳の男の子のパパでもある谷田優也さんに伺いました。

 

PROFILE:谷田優也(たにだ・ゆうや)

1982年東京都生まれ。2010年角川コンテンツゲートに入社。2015年11月『ストリートファイター』をきっかけに出会った髙尾恭平氏(COO)とウェルプレイド株式会社を設立。eスポーツの企画コンサル・運営、番組配信、映像制作、プロゲーマーのキャスティング・マネジメントなどを行っている。

 

eスポーツ選手儲けのカラクリ

動画配信もeスポーツ選手の収入の柱だ(Youtubeチャンネル「けんつめしTV」より)

eスポーツとはコンピューターゲームでの対戦を、スポーツ競技としてとらえたもの。とはいえ、具体的なイメージがわかないという人も多いのでは。

 

eスポーツの普及活動をしてきた谷田さんは、こう言います。

 

「eスポーツ選手は、音楽でたとえれば、歌やピアノなどの楽器演奏、パフォーマンスを通して人々を感動させられる人のこと。

 

一般の人たちがどんなに頑張ってもたどり着けない“上位表現”を見せてくれる人は、そのプレイを見せる価値を生みます。eスポーツ選手にとっては、その表現手段が“ゲーム”というわけです。」

 

単なるゲーマーとeスポーツ選手の違いは、本当に限られた上位「0.01%」の人たちにしかたどり着けない「ゲームの表現」を見せられるかどうか、にあるとのこと。

 

では、eスポーツ選手はどのように収入を得ているのでしょうか。谷田さんは3つの収入源について教えてくれました。
 

・大会賞金

「“0.01%”の人たちが繰り広げる戦いを観たいと思う人が集まれば、そこに市場が生まれ、スポンサーがつき、賞金が出る仕組みができあがります。この“究極の表現を観ることに対してお金を払う仕組み”はプロスポーツ観戦と同じです。」

 

・ゲーム実況動画による広告収入

「ゲーム実況動画は、一般的な動画と違って完全視聴率(最後まで見る人の割合)が高いんです。最後まで見ないと戦いの結末がわからないですから。一般的な動画よりゲーム実況動画の広告単価は3倍から5倍くらい高いといわれています。

 

例えば単価0.3円の広告が300万回再生されたら、90万円になります。そこにファンがつけば過去の動画も視聴してくれますよね。ファンがいて、毎月コンスタントに動画を作り続けるチャンネルはかなりの収入をあげられます。」

 

・個性を活かしたスポンサー契約

「大会実績に関わらず、選手自身がインフルエンサーのような役割を担う状況になりつつあります。今は、ゲームソフトを売る、という時代ではなくなっています。最初はタダで遊んでもらい、ゲーム内で課金してもらうというシステムが主流になってきているためです。

 

そのためメーカーは、1000万本のゲームを売るよりも、10万人のコアなファン、毎日遊び続けてくれる人を増やせるプレーヤーの価値に注目しています。

 

スポンサー契約できるプレーヤーは一握りですが、年間契約で数百万〜数千万円が相場です。視聴する人の信頼を得られる仕事ができるかどうか、がeスポーツ選手としての地盤を固める方法のひとつになってきています。

 

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