共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

 

「私、タニタを退職しました」 「そして、引き続きタニタ公式を担当しております」

 

2019年6月にタニタ公式Twitterの“中の人”の衝撃的な発言で一躍話題となった、タニタの「日本活性化プロジェクト」。会社との関係を雇用契約(社員)から業務委託契約(個人事業主)に切り替えるけれど、それまで社員としてやっていた仕事を基本的には継続する珍しい仕組みです。

 

なぜ社員から個人事業主に切り替えるのか?それまでやっていた仕事を担当できるって本当?このプロジェクトの運営を担当し、自身も活性化メンバーとして働いている二瓶さんに伺いました。

 

PROFILE 二瓶琢史さん

株式会社タニタ経営本部社長補佐/合同会社あすある代表社員。自動車メーカー勤務を経て2003年株式会社タニタに入社し、法務、人事、総務を経験。16年に社長より、社員の個人事業主化である「日本活性化プロジェクト」の構想を投げ掛けられる。社長補佐としてプロジェクト推進に携わり、同年自身も活性化メンバーとなるべく退職、現在に至る。

「手堅い」会社が新しい挑戦を始めた理由

──「日本活性化プロジェクト」は、それまで社員として働いていた人が個人事業主として引き続きタニタと契約するという形ですよね。かなり斬新で、他ではあまり聞かない仕組みです。なぜこうしたプロジェクトを始めたのか、経緯を教えてください。

 

二瓶さん:

タニタは1944年設立の健康総合企業です。設立当初は金属加工メーカーとしてシガレットケースや時計枠などを製造していました。現在は体重計などの健康計測機器に加え、健康づくりに関するサービスや外食事業などを展開し、「『はかる』を起点に健康をつくる」をスローガンとして掲げています。健康のイメージが強いと思いますが、実は、事業領域を次々と広げて変化してきた会社です。

 

「はかりや」として精度にこだわったものづくりを行ってきたので、根本の気質は「手堅い」ように思います。しかし商品が変化してきた一方で、働き方は変化していませんでした。そこで、新しいプロジェクトを立ち上げたのです。

 

──老舗企業は、社員と一致団結して同じ場所で働くことを大切にするイメージです。このような仕組みを取り入れるのは何だか意外な気がします。

 

二瓶さん:

タニタでは、会社と個人の関係を雇用に捉われない形に見直しました。会社の人材を「抱え込む」のではなく「惹きつけ合う」関係にすることで、働き方も健康にしていきたいと考えたのです。勤務時間に言われた業務だけを行うのではなく、活き活きと主体性を持って自分の仕事に取り組むイメージですね。

「会社が抱え込む」から「個人と会社が惹きつけ合う」関係にすることで働き方を健康的なものに変える

 

とは言え、あくまでも従来の雇用を否定するのではなく、選択肢を増やすという考え方です。