薬を飲む子ども

一般社団法人薬局支援協会・代表理事で現役の薬剤師でもある竹中孝行さんが、お子さんや大人の薬に関する困ったこと、悩んでいることに対してお答えします。

忘れたからといって2回分飲むのはやめましょう

朝、昼、夕など、薬を飲むタイミングや回数は、その効果を最大限に発揮させるもの。副作用も最小限にとどめるようにお薬ごとに決められています。

 

お薬を飲み忘れたことにすぐに気づいた場合には、気付いたときに飲んでもかまいません。ただし、服用回数が定められている薬は、以下を目安に時間の間隔を開けてください。

  • 1日3回の薬=4時間以上の間隔
  • 1日2回の薬=6時間以上の間隔
  • 1日1回の薬=8時間以上の間隔

 

飲み忘れに気づいたのが、次に薬を飲む時間帯に近い場合には、飲み忘れた分はあきらめましょう。飲み忘れたからと焦って、間隔をあけずに続けてお薬を飲んだり、一度に2回分の薬を飲むことは絶対にやめてください。薬の作用が強くでて、副作用が出る可能性が高まるため危険です。

 

多くの薬は、食事に関係なく飲んでも影響は少ないですが、例外として、食直前(食事を目の前にして)、食前(食事の30分前)、食後など、薬の性質によって服用のタイミングが定められているものがあります。

 

また、飲み忘れたことで症状が悪化したり、身体に影響が出てしまう可能性のあるお薬もあります。主治医や薬剤師から飲むタイミングに注意すべきと言われた薬を飲み忘れた場合は、主治医や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

飲み忘れを防ぐための工夫としては、スマートフォンのアラームをかけておくことや、お薬ケースで管理し、子どもが触れない、目につく決まった場所に置いておく、食事とともに薬を準備するなどの方法がおすすめです。

子どもに服用させる場合はどうでしょうか?

子どもに服用させる場合にも、薬を飲ませてはいけない時間帯はありません。しかし、指示された薬の飲み方(タイミング、回数、量)を守るようにして下さい。

 

効果を得たいからといって、本来1日1回の薬を1日3回飲むようなことはしてはいけません。多く飲んだからといって高い効果を期待できるわけではなく、副作用のリスクが高まる可能性があります。

 

また、子どもが飲まれる薬の多くは、食事に関係なく飲んでも影響は少ないものがほとんど。そのため、小さなお子さんの場合、必ずしも食後に飲む必要はありません。機嫌が悪い時や食後だと、なかなか口を開けてくれないこともあるので、その場合には、機嫌が良い時や食事前に飲ませるのも手です。

 

食事のタイミングではないときに服用した場合には、1日の服用回数に応じて適切な時間間隔をあけて服用するように心がけてください。

 

※専門的な知識に基づき解説をしています。ただし、例外もあり、個別のケースは必ずかかりつけ医や薬剤師にご相談下さい。

 

文/竹中孝行