母親の歪んだ愛情表現
周平を「舐めるように育ててきた」と語り、執着のような愛情を見せる秋子。こんな母親なら離れたほうがよい、周平を説得させたくなるのですが、この母親と息子の関係には不思議でとても強い絆があります。母親から離れるチャンスは訪れたものの、その選択をせず、母親の言いなりで犯罪へと至る周平の姿にはなんとも言えない気持ちが湧いてきます。
「なぜ」という気持ちでいっぱいになるのですが、それは仕方のないこと。周平にとっての母親は秋子であり、幼い頃から母親の言うことに従う、それが周平にとっての唯一の選択肢だったからです。誰か周平を導いてあげて! 絶望から救い出してあげて! という気持ちになるのですが、なかなかチャンスは訪れないし、やっときたチャンスも毒母・秋子がことごとく潰してしまうのです。