家事育児を夫婦でシェアすることが、子どもの柔軟な価値観を育てる

──パパが家事・育児に取り組むことで、子どもに与える影響もあるのでしょうか。

 

石井さん:

二人親家庭において、パパが家事・育児に主体性を持って関わることは、子どもにとってはメリットしかない、と言い切ってもいいでしょう。

 

たとえば、パパが積極的に家事・育児に関わっている家庭では、女の子が成長したときに職業を柔軟に選択しやすい、というデータがあります。他にも、子どもの言語能力や成績が向上する、自尊心が高くなる、思考が柔軟になるなど、さまざまな研究結果が発達心理学の世界では明らかになっています。

 

家事の仕方って、人によって違ったりしますよね。でも違っていいし、考え方や正解はひとつじゃない。パパとママが違うやり方でしている姿を間近に見ることで、子どもは多様性を学んでいきます。

 

と同時に、家事や育児は互いに協力し合うことで成り立つ側面もありますよね。夫婦が協力しながら家事をシェアしている姿を見ることで、子どもは「家族が協力しあうことの大切さ」も自然と学んでいきます。

 

──家庭内の親の姿から、子どもは「多様性」と「チームワーク」を学べるんですね。

 

石井さん:

そうです。ですから、学校で家庭科教育を教わるだけでは足りないんですね。それが自分の家庭内でも実践されていないと、子どもの意識は大きく変わらない。

 

学校で「夫婦で協力して家事・育児をする大切さ」を教わっても、家に帰れば料理や洗濯をするのはママだけでパパは何もやっていない現実があると、子どもの学びには残念ながら繋がりません。

 

「家庭科」においては、フォーマルな学校教育と、インフォーマルな家庭内教育、この両輪が揃うことが何よりも重要なのです。

 

ママとパパがそれぞれに家族というチームの一員として行動している姿を日常生活で見せていく。それだけでも充分に子どもにはよい効果があるのです。

 

… 「家庭科」の学校教育と家庭内教育で、子どもたちの未来は家事シェアが当然になるかもしれませんね。

 

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文/阿部 花恵

参考/文部科学省ホームページ https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/065/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/02/1364922_9_3.pdf