新型コロナウイルスの感染拡大によって、体を守るための「免疫力」が注目されています。 免疫力を高めるための方法のひとつに「有酸素運動」がありますが、運動をしたくても、自粛ムードで思うように外出できないのが悩ましいところ。 今回は、家でできる簡単な有酸素運動の方法を、理学療法士がご紹介していきます。

免疫力向上に「有酸素運動」が効果的な理由

 

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免疫力は運動によって向上するといわれていますが、「免疫」「有酸素運動」との関係はイメージがわきにくいかと思います。まずは、免疫と有酸素運動について、簡単に説明していきます。

 

体温上昇と免疫の関係

「免疫」とは、体を守るために備わっている防御機能のことをいいます。免疫は、体内に侵入してきたウイルスや細菌などの病原体をいち早く発見し、攻撃を仕掛けて撃退します。 さらに、撃退した病原体を記憶して「抗体」を作ることで、次に同じ病原体が侵入したとしても排除して体を守る働きがあるとされているのです。 また免疫は体温や血流の影響を受けやすく、体温が下がって血流が悪くなると、機能しづらくなってしまうといわれています。病気にかかったったときに熱が出るのは「体温を上げて免疫力を活性化させる」ための反応だと考えられるのです。

 

有酸素運動が免疫力を高める

「有酸素運動」とは、運動のエネルギー消費に酸素を必要とする運動のことを指し、持久力アップや心肺機能向上に効果的です。次のような、「長時間行える」「比較的強度の低い」運動が有酸素運動にあたります。 ●ウォーキング


●ジョギング


●サイクリング など

 

ちなみに、エネルギー消費に酸素を必要としない運動を「無酸素運動」といいます。酸素の代わりに糖をエネルギー源として利用するのが特徴。「短時間に強い力を発揮する運動」で、筋力アップや瞬発力アップ、筋肥大に効果的です。 ●腕立て伏せ


●腹筋


●マシントレーニング など

 

運動中は体温が上昇し血流も良くなることで、免疫細胞が活性化されるといわれています。 ただし「無酸素運動」のような強い強度の運動をした後は、免疫細胞は急激に減少してしまうといわれています。一方で「有酸素運動」後では、活性化した免疫細胞の減少はほとんどみられません。 そのため「免疫力アップには有酸素運動が効果的」とされているのです。