「美容のためには、夜更かしは厳禁。できれば22時、遅くとも24時には布団に入りましょう!」これは、女性なら誰もが聞いたことのある常識ですよね。「ゴールデンタイム」と呼ばれる、あの時間です。 しかし最近は、この常識に代わる新たな理論が報告されていること、知っていましたか? アンチエイジングにかかわる遺伝子研究と臨床を専門とする、日比野佐和子先生に詳しいお話を伺いました。

 

《取材協力》日比野佐和子先生 日本抗加齢医学会認定専門医、医学博士。Y’sサイエンスクリニック統括院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学特任准教授。基礎研究から最新の美容医療に至るまで幅広く活躍し、テレビ番組でも、わかりやすい解説で好評を博している。

人の体内時計には、個人差がある

 

ゴールデンタイムとは、〝若返りホルモン〟の名で知られる成長ホルモン

(GH)が、もっとも多く分泌される時間。以前はこれが午後22時~午前2時とされ、この時間に寝ると肌細胞のターンオーバーなどがよくなると言われていました。 しかし現在では、就寝後最初に訪れる深い睡眠(ノンレム睡眠)のタイミングで、成長ホルモンが多く分泌されることがわかっています。成長ホルモン分泌のピークは、眠り始めの3時間。眠ってすぐに睡眠の質を上げられるかどうかが重要です。

 

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「浅い睡眠である〝レム睡眠〟と、深い睡眠である〝ノンレム睡眠〟は、〝90分で1サイクル〟と考えられていました。一般に、90分の倍数で寝ると起きやすいといわれてきたのは、そのためです。 しかし現在は、このサイクルにも個人差があることがわかり、その幅は80110分と報告されています。人の体に備わった体内時計には、実は結構幅があるんです。そのため成長ホルモン分泌のピークにも、個人差があります。 大切なのは、寝る時間ではなく、その人の睡眠サイクルのなかで眠りの質を高めること。睡眠の質をいかに上げるかが、アンチエイジングの肝といえます」

(日比野先生)