同じく「医師免許」を持っているとはいえ、治療に関する考え方は医師によって大きく異なります。科学的エビデンスに基づき「標準的治療」が定められているがんなどの病気は、それらに従って治療を進めていくのが一般的です。 しかし、軽い風邪や発熱などには明確な標準的治療はなく、医師によって治療方針はさまざま。「薬を処方する・しない」もそのひとつ。薬や注射などを使わず「様子を見る」という方針の医師も多いです。 しかし患者さんの立場からすれば、「せっかく病院を受診したのに、何もしてくれなかった」と不安になることもあるはず。医師が「薬を処方しない」ことの意味と、不安に思ったときの対応について、詳しく解説します。
薬を飲むとことの〝デメリット〟とは?
これまでにも、症状を改善し、病気を快方へ向かわせるさまざまな薬が生み出されてきました。 かつては日本人の死因トップだった結核も、1940年代に有効な抗菌薬が開発されてことによって、現在では結核で亡くなる方は大幅に減少しています。それは、がんなどの病気も同じこと。 薬は私たちの健康を守ってくれるものですが、とはいえどんな薬にも副作用はつきもの。症状を改善するために使用した薬によって、健康被害を受けることは決して稀なことではありません。 また、薬の副作用によってふらつく症状が出て、ベッドから転落し骨折するなど、思わぬケガをするケースもあります
(※1)。副作用の現れやすさや重さは、個人の体質や薬の種類によって異なりますが、どんな薬でも副作用を完全にゼロとするのは困難なのです。