日本とは“きちんとする”のポイントが違う?

──それぞれの国の文化にも関係があるんですね!日常生活だけでなく、仕事の分野に関してもハードルは低いのでしょうか?

 

竹内さん:

職業にもよりますが、服装に関する規定や意識は全体的に緩い気がします。飲食店で休憩中の店員さんが店内でお客さんと一緒にご飯を食べていたり、スーパーのレジ係の人が会計の処理をしながら椅子に座って同僚とおしゃべりしながら働いている姿もよく見かけます。

 

──日本ではあまり見ない光景ですね!「服装や勤務態度はきちんとするもの」という意識を持っている人が多いと思います。

 

竹内さん:

「きちんとする」のポイントが違うのかもしれませんね。

 

例えば、イギリスではきちんと仕事休憩を取ります。

 

以前、公共バスに乗っているとき、停留所ではない場所で運転手さんが突然降りていったことがあったんです。何事かと思ったら、別の運転手さんが乗ってきました。「キリがいいから次の停留所までは運転しよう」みたいな、曖昧な勤務の延長はしないんだな~と思いました。

 

──なるほど、何もかもが緩くてだらだら働く…というわけではないんですね。読者からは、エピソードにまつわる共感や海外での体験談など多くの声が寄せられたんじゃないでしょうか?

 

竹内さん:

そうですね。

 

たくさんの声を寄せてもらいましたが、特に心に残ったのが「それぞれの良し悪しがあるし、イギリスと日本、どちらの価値観も素晴らしい」というコメントです。

 

私はイギリスが大好きですが、きちんとした生活を送る日本ももちろん大好きです。なので、「イギリスの方が良くて、日本の生活はダメ」といった、優劣のつくような描き方にならないよう、細心の注意を払って制作したつもりでした。

 

この漫画が、今、大変だと感じている部分の力を抜いて、毎日を楽ちんに変えるきっかけになれば嬉しいです!

 

… 仕事を終えて疲れた私たちがルーチンワークで行っている家事や育児は「当たり前のこと」と思っている方も多いはず。でも、もしかしたら自分で気づいていないだけで、その「当たり前」のハードルはとても高いのかもしれません。

 

完璧に仕事や家事、育児をこなせない自分を責めてしまう前に、一度ハードルを下げてみると、本当の意味で「快適な暮らし」が見えてきそうです。

 

作/竹内絢香さん(@ayakatakeuchi56) 取材・文/秋元沙織