今回は日本で最も短い路面電車、岡山電気軌道を紹介します。岡山の路面電車は総延長4.7キロながら、気軽に楽しめる要素もりだくさん!日光で走っていた路面電車も元気にがんばっています。
一区間は大人100円!超リーズナブルな岡山の路面電車
岡山の路面電車は岡山電気軌道という会社が運営しています。路線は岡山駅前~東山間の東山線、柳川~清輝橋間の清輝橋線の2路線です。清輝橋線の電車は岡山駅前まで乗り入れています。総距離は4.7キロとなり、日本で最も短い路面電車として有名です。所要時間は以下のとおりです。
岡山駅前~東山:17分 岡山駅前~清輝橋:13分
JR岡山駅から地下道を少しだけ歩くと、岡山駅前電停に着きます。右側から東山行き、左側から清輝橋行きが出発。運賃は車内で支払い、SuicaやICOCAなどの交通系ICカードも利用できます。
総距離の短さが話題となる岡山の路面電車ですが、運賃にも注目したいところ。岡山駅前電停からの場合、灰色のゾーンが大人100円、子ども50円、それ以外のゾーンが大人140円、子ども70円と格安です。1日乗車券は大人400円、子ども200円です。1日乗車券も車内で販売されています。
日光で走っていた路面電車に乗れる?
岡山の路面電車のもうひとつの特徴がバラエティーあふれる車両たちです。こちらは日光で走っていた3000形3007号「KURO」です。3000形は1953年生まれ。1968年、日光の路面電車がなくなった後に岡山にやって来ました。黒色の塗装は岡山城に合わせています。
車内はデザイナーにより大きくリニューアル。木材を生かした温かな内装となっています。座席の端にテーブルが設置されています。
車内には明治から昭和にかけて活躍した岡山出身の画家、竹久夢二氏の作品が展示されていました。「KURO」は岡山を代表する画家、竹久夢二氏の生誕130周年を記念した車両でもあります。照明もレトロな丸型となっています。
降車ボタンもレトロそのもの。ボタンを押すと「チン」という可愛らしい音が鳴ります。
岡山駅前から約20分で終着の東山に着きました。3000形は冷房装置がないため、6月~9月は運行していません。KUROの時刻表は岡山電気軌道のホームページに公開されています。また、東武日光線時代を再現した東武日光軌道復元号も運行されています。
一般の広告電車も楽しい
岡山の路面電車には数多くの広告電車が走っています。ピンクの可愛らしい車体は山陽新幹線を宣伝するもの。車体の真ん中には500系「ハローキティ新幹線」が描かれていました。電停の屋根と同じ赤色の車両も走っていました。赤やピンクのようなカラフルな車体は見ている側も楽しい気分にさせてくれます。
ネコ型路面電車「たま電車」も忘れてはいけません。車体にはマンガに出てきそうな、可愛らしいネコが描かれています。「たま電車」の時刻表も岡山電気軌道のホームページで公開されています。
クールでカッコイイ「MOMO」
カワイイ電車が多い岡山の路面電車ですが、クールでカッコイイ電車もあります。それが2002年にデビューした「MOMO」です。「MOMO」はノンステップなので、小さな子どもでも楽に乗車できます。また2車体2台車のため、他の電車よりも少し長いです。
外観と同じく内装もクールです。新車でありながら、木材を多用。まるで、おしゃれなカフェにいるような気分になります。また窓が大きいため、車内が明るいのも強み。揺れが少なく、乗り心地のよい車両です。
1両目と2両目でデザインが異なります。こちらは濃色の木材を使っています。「MOMO」のダイヤも岡山電気軌道のホームページで公開されています。
岡山の路面電車に乗ったらパンタグラフに注目しよう
岡山の路面電車で使われているパンタグラフは「石津式」と呼ばれています。一般的な電車はバネや空気圧使ってパンタグラフ上げていますが、「石津式」はおもりの重力を利用しています。仕組みがシンプルな分、メンテナンスもしやすいとか。走行中はおもりがブランブランと揺れています。現在、「MOMO」以外の車両で「石津式」が使用されています。
岡山の路面電車には子ども用専用車両がある?
ところで、岡山の路面電車にはイギリス生まれのテレビアニメ『チャギントン』をイメージした「おかでんチャギントン」が走っています。この車両に乗車するには特別乗車チケットが必要です。詳しくは「おかでんチャギントン」のホームページをご覧ください。
文・撮影/新田博之