自分の認知が妥当かどうか考えてみよう
自分の認知を見直すときに大切なのは、次の2つのポイントです。
1.妥当性の検討
⇒「現実には何が起こっているのか」を見直す
非適応的な認知の例では、自分のミスを過大視し「自分はいつもダメ」と決めつけてしまっています。でも「いつもダメ」という根拠はどこにもありません。 今回のミスは、たった1回のミス。起きたことを冷静に見つめて、〝そう考える根拠はあるか〟をふり返るのが、妥当性の検証です。 現実的に考えれば、以下のような「適応的認知」が浮かぶのではないでしょうか。
●その日のお弁当づくりを忘れた保護者は、ほかにも何人もいた。連絡方法によくない点があったのかも?
●仕事を抱えていて忙しいんだし、お弁当を忘れることなんて誰にでもある。忘れちゃったものはしかたない
2.有用性の検討
⇒「このように考えることが、自分の役に立つか」を見直す
〝そう考えることが、自分の役に立つか〟を見直すのが、有用性の検討です。 自分を責め〝ダメな母親〟と考えても、気分が落ち込むばかり。出社後の仕事に集中することも、帰宅後に、家族にやさしく接することもむずかしくなるかもしれません。 そうすると、ますます自分を責めて落ち込むという悪循環に陥ります。自分にとっての有用性を考えると、次のように考えるのが適応的といえます。
●親切なママ友がいてくれて、本当によかった!
●自分の失敗より、相手のいいところに目を向けて、素直に感謝すればいい
実際に検証してみると「私にはあんな余裕はない。情けない」と考えるより、「〇〇ちゃんのママありがとう~。助かった!!」と思うほうが、ずっと現実的ではないでしょうか? 親切にしてくれたママ友と、関係を深めるきっかけにもなりそうです。その意味でも「そう考えることが現実的か」「そう考えることが有用か」という視点は、とても大切です。
この例のように、ちょっとしたできごとで自己嫌悪に陥ったときは「認知が偏っていないか」を見直してみましょう。そして、より「適応的な認知」を見つけます。 それを習慣化すると、毎日のストレスでつらくなることが、自然と減ってきます。
文:川西雅子