いよいよ2020年になりました。今年は東京オリンピックもあり、賑やかな一年になりそうです。一方、今年の鉄道はどうなるでしょうか。この記事では著者の独断と偏見に基づき、関西鉄道界のニュースをピックアップします。

やはり注目は近鉄特急「ひのとり」

今年、関西のみならず全国的に注目を集める車両は近鉄特急「ひのとり」でしょう。「ひのとり」は新しい近鉄特急のシンボルとして、314日にデビューします。予定では大阪難波~近鉄名古屋間の名阪特急を中心に運行され、大阪難波~近鉄奈良間の一部の特急にも使われます。

 

「ひのとり」の最大の特徴は鉄道業界初となる全座席に「バックシェル」が導入されることです。 「バックシェル」は簡単に書くと座席の後ろを囲む覆いのようなもの。利用客は後ろの座席を気にすることなく、リクライニングを倒すことができます。他にも挽きたてのコーヒーやお菓子が楽しめる「カフェスポット」やひと息つける「ベンチスペース」、大型荷物対応の「ロッカー」など、あらゆる設備で観光やビジネスをサポートします。

 

「ひのとり」は「プレミアム車両」と「レギュラー車両」の2クラス制です。私は「プレミアム車両」に使用される座席を試しましたが、「座る」というよりは「寝る」ような感覚で本当に快適でした。気になる運賃は大阪難波~近鉄名古屋間が5,240円(プレミアム車両)、4,540円(レギュラー車両)です。東海道新幹線よりも割安で豪華な内装は大いに話題となりそうです。

近鉄特急の全席禁煙化

個人的には「ひのとり」だけでなく、近鉄特急の全席禁煙化もインパクトのあるニュースです。実は一部の近鉄特急には喫煙車があります。

 

今回の措置の背景には41日施行の改正健康増進法があります。それに先立ち、21日から近鉄特急の全席禁煙化がスタート。現在、近鉄では特急の車内に喫煙室を設ける工事を進めています。また、地下区間や駅全体が屋根に覆われたターミナル駅では喫煙室であってもタバコは吸えません。

 

全席禁煙化に伴い、喫煙室がない12200系は特急の運用から外れる予定です。12200系は1969年(昭和44年)にデビューした古豪。現在もオレンジ色と紺色の旧塗装を身にまとい、最後の活躍を続けています。同車が使用される特急はインターネット予約発売サービス画面などから確認できます。最終的に全車が特急運用から外れるのは2020年度末とのことです。

神戸~奈良間の快速急行は速くなる!

阪神電気鉄道は314日にダイヤ改正を行うことを発表しました。今回のダイヤ改正の目玉は神戸三宮(一部新開地)~近鉄奈良間を走る快速急行の8連化とスピードアップです。

 

土休日のほとんどの快速急行が6両から8両になり、神戸三宮~近鉄奈良間において平均4分短縮(土休日)されます。阪神線内において快速急行の停車駅は8両に対応していますが、芦屋駅はホームの延伸が難しいように思います。なぜなら、芦屋駅の両端には踏切があるからです。快速急行は土休日に限り、芦屋駅を通過するのではないでしょうか。阪神線内も8両で運転することから、尼崎駅での電車の増結・分割作業はなくなります。これらの要因により、スピードアップが実現するのでしょう。

 

青春18きっぷユーザーにとってはキツイダイヤ改正かも

 

 

一方、2020年から少し不便になるのでは…と心配している路線もあります。それがJR福知山線(尼崎~福知山)です。福知山線は大阪から日本海側へ「丹波路快速(大阪~篠山口・福知山)」と普通列車を使って気軽に行ける路線で知られています。「丹波路快速」は1時間に2本(日中時間帯)と本数も多いのが特徴です。

 

3月14日のダイヤ改正では平日のおおむね11時~15時台、土休日のおおむね12時~15時に運行される「丹波路快速・快速」が宝塚~新三田間を各駅に停車する「区間快速」に変更するとのこと。同時にこの時間帯に運転される普通列車は宝塚止まりになります。

 

現在、「丹波路快速」で大阪~篠山口間の所要時間は67分~68分ですが、「区間快速」になると72分~77分と大幅にスピードダウン。「青春18きっぷ」を使って福知山線に乗車する場合は「丹波路快速」の運行時間帯を狙いましょう。

 

昨年、関西ではJRおおさか東線が開業しましたが、今年は新線の開業はなさそうです。その代わり、新車のデビューが目立つ年になるのではないでしょうか。一方、新車の投入により、廃車になる車両も気になるところではあります。

 

文・撮影/新田浩之