—— 小林さんの演技のアプローチ方法を教えて下さい。
小林さん
僕の演技は「メソッドアクティング」といって、過去や経験、感覚を頼りに作っていくという方法です。そもそもダンスを始めたのも自分の中にある思いを伝えたいと思ったからなんです。ほとんどの感情って言葉にならないもの。だから伝わらなければ苦しむし、伝わったときにはよろこびを感じます。
自分がダンスを始めたときに、「感情をすごく吐き出せる、自分の表現方法はこれかもしれない」というフィーリングがありました。そのダンスを15年プロとしてやる中で、その延長線上の半歩ズレたところに芝居があります。芝居じゃないと伝えられないものがあるんです。言葉を使うこともダンスとは違いますから。
—— では今後、役者として“こうなりたい”という理想はありますか?
小林さん
11月にはこの『海風』の公開1週間後に、Netflixオリジナル映画『アースクエイクバード』の配信がスタートします。主演で携わった 内田英治監督の短編 『荒野の忍』 も特集上映され、同時期に3作品をお届けすることができます。3年前くらいから映画に出て、ダンスと芝居がつながっていることもわかったので、もっと本腰を入れてやっていきたいです。「役者宣言!」というと大げさだけど そのくらいの気持ちで取り組みたいと思っています。
—— 小林さんにとってお芝居がかなりのウェイトを占めることになりそうですね。
小林さん
僕にとって芝居は、後悔していることや選択しなかったもう一つの選択肢を経験し、気持ちを昇華できるものなんです。昇華できるような感覚になるというか。
仕事としてはもちろんのこと、自分自身に大切なことでもあります。誰かの人生があって、それがフィクションであってもノンフィクションであっても、そこに自分の経験と肉体を使って作り上げていくことは、自分自身を振り返るきっかけにもなります。タフなことではあるのですが、役者としてだけではなく自分自身も成長させてくれると思っています。
—— では、最後にCHANTO WEB読者にメッセージをお願いいたします!
小林さん
みなさんには、自分よりも大切な“家族”という存在があります。そんな特別な存在がいる方が、この映画の中に見るものは、どんなものなのかすごく知りたいです。今の僕が持つことができない目線があると思っているので、ぜひ、感想を聞きたいですね。
小林直己 / パフォーマー・俳優
EXILE / 三代目J SOUL BROTHERS パフォーマーとして全国ライブツアーなど精力的にアーティスト活動を行う。パフォーマー以外に役者としても活動し、舞台にも積極的に参加、劇団 EXILE 公演のほか、2013 年 2 月より行われた「熱海殺人事件 40years’ NEW」(つかこ うへい 作・岡村俊一演出)で 大山金太郎役を熱演。各方面より好評を得る。2017年からは俳優として本格的に活動をはじめ、「たたら侍」(2017年) 「HiGH&LOW」シリーズなどに出演。 Netflix 「THE EARTHQUAKE BIRD(原題)」(2019年11月配信スタート)など、日本ならず、アメリカにおいても俳優として活動の場を広げている。
取材・文/タナカシノブ