育休の義務化よりも、あくまで主体性を大事に

熊谷俊人・千葉市長

 

主体的に考えるというのは大切な視点ですね。

 

熊谷市長

私もこんなことを言っていますが、自分の子供の子育てで主体的になり切れていない部分はもちろんあります。

ただ、マインドは大切だと思っているんです。今は、「男性の育児参加」という言葉をつぶさなければいけないと考え、職員にも使わないように言っています。「女性の育児参加」という言葉はないし、これも「手伝う」というニュアンスがありますよね。

 

確かに、女性が主に担っていることが前提になっている言葉かもしれません。

 

熊谷市長

私は「男性だから」「女性だから」とか、「父性」「母性」とか、そういったことから育児へのかかわり方について考えているわけではありません。複数の大人が主体的に子育てに関わることが大切だと思っているんです。

それぞれが主体的にかかわることで、シングルオペレーションにならず、心理的にも余裕が生まれて子育てにも良い影響が出ます。子どもにとっても、複数の大人に触れるというのはすごく大切なことです。

 

男性の育休取得義務化について検討する議員連盟ができるなどの動きがありますが、現在の議論についてはどう感じますか?

 

熊谷市長

議論をしていくのはもちろん大切だと思います。ただ「義務」となると難しい職場もあると思いますから、どのように例外を認めていくか、ということになるんじゃないでしょうか。個人的には、千葉市のように取得前提の運用をするのがいいのではないかと思っています。

 

育休を取得する男性が増えることで、育休以外の事情を抱える人も休みを取りやすくなったというのが印象的でした。

子育て世代だけでなく、様々な事情を抱えた人が働きやすい社会にしていきたいですね。

 

PROFILE 千葉市長 熊谷俊人さん

千葉市の熊谷俊人市長
1978年生まれ、兵庫県神戸市出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社入社。千葉市議会議員を経て、2009年に31歳で千葉市長に立候補し当選、当時全国最年少市長となる。現在3期目。小学生の娘と息子、妻との4人家族。

 

取材・文/小西和香 写真/小林キユウ