■数多くの弟子も育てた北里柴三郎
日本における近代医学の父として、その名を知られる北里柴三郎。予防医学の第一人者として、またさまざまな功績を残す優れた研究者としても知られています。 実は北里柴三郎には、これ以外にも大きな特徴があり、それが指導者として優れた一面を持っていた、ということなのです。 北里柴三郎のもとからは、数多くの優れた人材が輩出されています。 ・北島多一(ハブ毒の血清療法の確立)
・志賀潔(赤痢菌の発見)
・秦佐八郎(梅毒の特効薬の創製)
・宮島幹之助(寄生虫が関連する病気の研究)
・野口英世(黄熱病の研究) 北里柴三郎の弟子への指導は、厳しいものだったと言われています。しかしその姿勢に惚れ込み、彼のことを慕う弟子たちが多かったのも事実です。自身の研究で、そして後進の育成において、北里柴三郎は後世に多大な功績を残した人物であったのですね。
■北里柴三郎は第一回ノーベル賞の候補者だった
北里柴三郎は、その研究がもたらした功績により、ノーベル賞創設時、第一回ノーベル生理学・医学賞の候補者となりました。ベーリングと北里柴三郎が共同で発表したジフテリア血清療法に関する論文が、ノーベル賞の受賞対象となったのです。 しかし残念ながら、ノーベル賞を受賞したのはベーリングのみ。さまざまな事情があったと推察されますが、北里柴三郎は受賞を逃すことになります。しかし当のベーリングは北里柴三郎の功績を高く評価していて、ベーリングの言葉によって、北里柴三郎の偉業は世界中に知られていきました。
■まとめ
赤ちゃんの頃からせっせと予防接種を打つ現代。北里柴三郎が唱えた「予防医学の重要性」は、当たり前の教えとして、私たちの心に根付いていると言えるでしょう。今私たちが安心して健康的な生活を送ることができるのは、北里柴三郎をはじめとする研究者たちが、その生涯をかけて医学を発展してきてくれたからなのですね。 お札の刷新のニュースに触れ、子どもに「北里柴三郎ってどんな人なの?」と聞かれたときには、ぜひ優れた功績について教えてあげてください。過去の研究が今に続いているということを、実感できるのではないでしょうか。