「英語はI、my、meもイマイチ理解してない」と笑うのは、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの信子さん。過去に高校中退を経験し、最終学歴は中卒だった彼女が今年4月、34歳で通信制高校に再入学しました。ブレイク中の多忙な日々のなか、10教科のテストに計30枚のレポートをこなす猛勉強ぶり。単なる「高卒資格」の取得にとどまらない、彼女が再び机に向かう“本当の理由”と、大人になって見つけた学びの面白さを聞きました。
「とりま高校入学することにしまんた」
── かつて高校に進学するもわずか1か月で退学処分となり、その後に進学した通信高校も1年で中退。最終学歴は中卒だったと明かしてきましたが、今年4月SNSで、「この度、改めて学びたい欲に駆られて、とりま高校入学することにしまんた」と発表し、話題になりました。
社会に出てからの学び直しは実際、かなりハードルが高いように思いますが、きっかけはなんだったのでしょうか?
信子さん:お笑いって、正解がないじゃないですか。死ぬまで新しいことを見つけられる、ある意味「正解のない仕事」だと思うんです。そう考えたときに「うちはお笑いで何かを成し遂げることはできるのだろうか」って思って。何かひとつ、突き詰めて研究して、答えを見つけてみたいと思ったのがきっかけです。

そんなとき、あるお仕事で大学教授の方と知り合って、「論文を書くと、それが生涯残る」って聞いたんです。「なんかすごいな。うちもいつかそういう世の中に残る研究がしたい!」って。だから高校を卒業後は、大学にも行きたいと思っています。
── お笑いという「正解のない仕事」をしているからこそ、「形が残ること」がしたいと思ったんですね。とはいえ、30代での高校入学、不安はありませんでしたか?
信子さん:いえ、全然。「もうちょっと若ければやってたのに」とか、「今から新しいことをするのは勇気がいるよ」とか、そういう大人の言葉がよく耳に入ってきますが、それがずっと不思議だったんです。「やり残したことをやるのは30代からでも遅くない。うちがその背中を見せよう」と思って、決断に至りました。
そう決めたら迷いはもうマジでなかったですね。本当にやりたいって思ったら、うち、基本的に行動が早いんですよね。
── 学校は、どのように選んだのでしょうか。
信子さん:今通っているのは沖縄にある高校なんですけど、進学のきっかけになった教授とつながりがある学校なんです。もちろん東京にも選択肢はいっぱいあったけど、学校に詳しい人が身近にいるなら、そのほうがいいかなって。「沖縄なんて飛行機ですぐだし」と思って決めました。リモートで授業を受けられるので、実際は沖縄にしょっちゅう通うわけではないんです。
── 授業や課題も、仕事に合わせて取り組めるのですか。
信子さん:前期と後期にテストがあって、それぞれに決められた教科の単位を取ればいいんです。授業の時間割は自分で組めるので、仕事と両立しやすいですね。
ただ、前期のテストが10教科あって。さらに、その10教科分のレポートが3枚ずつあるんですよ。だから、合計30枚のレポートをやらなきゃいけなくて。それはなかなか大変でした。でも、やりたかったことなので、楽しいです。
校長先生とは早くも仲よし「あとは同級生」
── 実際に学び始めて、想像と違ったことはありましたか?
信子さん:大人になって授業を受けるほうが、めっちゃ楽しい。知識が頭にスッと入ってくるというか、理解の速度が違う気がします。なんせもう34年生きてるから、今までの経験から応用が効いたりもして。この前は、経営の方法を学ぶ授業があったんですけど、少し前に行った企業もののロケで経営者の方がおっしゃってた内容そのまんまだったんですよ。だから「これめっちゃわかる!余裕かも」ってなって。そんな感じで、仕事が直接、勉強に役立ったこともありました。
それに比べ、世間を知らない10代が知識だけを詰め込む勉強はすごく苦痛でした。大人になってから「自分で学びたい」と思って始めるほうが断然、楽しいと思います。
── ちなみに、いちばん面白いと感じている教科はなんですか?
信子さん:数学と公共(現代社会に代わって2022年度から必修化された科目)ですかね。裁判員裁判とか、国会の仕組みとか、ソクラテスなど思想家たちのこととか、世界の法律の違いとか。実は自分の生活とも繋がりがある内容なので、めっちゃおもしろいです。
数学は「なんでこの公式を使うの?」と疑問に思ったら、納得できるまで先生に聞きます。そうすれば私でもストンと腑に落ちる瞬間があるんです。確率の問題なんかは「これ、麻雀に使えるな」とか(笑)。自分の人生の最寄りのものに置き換えてやると、わかりやすいんですよ。
苦手なのは英語。「I、my、me」もイマイチ理解してないのに、新しい課題がどんどん渡されるので…。マジで、そこからのレベルなのでしんどいです。「何とか動詞を使った文章を書け」って言われると「は?」ってなっちゃうし。でも、「自分が好きなものについて、自由に英作文しなさい」って問題ならできるんです。「私はこの俳優が好き。だって顔がセクシーだから」ってシンプルに書けばいいから(笑)。今回のテストも、そういうところで点数を取りました。
── 同級生との交流はいかがですか?
信子さん:まだ交流は少ないんですよ。「おはようございます」とか「今日は仕事は大丈夫なんですか?」とか話しかけてくれたりするけど、タメ口でいいって言ってるのに、みんな敬語でしゃべってくるのが悩みです(笑)。早くも校長先生や教頭先生とは仲よくなったので、同級生とも壁を取っ払いたいですね。