「妻の不安や負担をなくしたい」と、27歳でパイプカット(男性の避妊手術)を決断したお笑い芸人・GOGO!HAYATOさん。SNSでの公表は1700万表示を記録するも、誤解や心ない誹謗中傷が相次ぎました。しかしその果てに届いたのは、「身体に負担を伴う避妊」に悩んできた女性たちからの切実な声。反響の裏で本人が知った現実と、手術のリアルを聞きました。

反響続々「女性からの意外な反応」に驚いた

意外と安い?HAYATOさんが受けたパイプカット手術の金額は5万5000円だった

── お笑いコンビ「流山狂ノ詩」のGOGO!HAYATOさん。27歳で6歳、4歳、2歳の3人の娘を育てる父親でもあります。今年、パイプカットを受けたことをSNSで公表すると、投稿は約1700万インプレッションを記録。関心が高い一方、パイプカットという言葉だけが先行し、実態はほとんど知られていないようにも見えます。実際、どんな反応が多かったですか。

 

GOGO!HAYATOさん:一番多かったのは「去勢したの?」ですね。僕は事前にいろいろ調べていたので、そういう手術ではないとわかっていましたけど、世間ではかなり誤解されているんだなと思いました。ここで言えないような、かなり下世話な決めつけも多かったです。「浮気し放題。遊びたいだけでしょ」「顔からして性欲強そう」なんてコメントもザラで。反論はしませんでしたけど、マジで腹が立ちましたね。

 

何が一番嫌だったかって、夫婦で話し合って決めたことを「外で遊ぶため」と下劣に決めつけられたことでした。僕は妻一筋ですし、妻以外の女性には興味がありません。夫婦で考えて出した結論を、そんな目線だけで消費されたことが嫌でした。

 

一方で男性からは批判だけでなく、「男の中の男だ」と言ってくれる人もいましたし、「自分もパイプカットをしようと思っているんですけど、実際どうですか?」という相談がSNS上で何件か来ました。痛みや費用など、僕が経験してわかる範囲で返信しました。パイプカットに興味があっても、身近な人にはなかなか聞きにくいのかもしれないですね。

 

── かなり賛否が分かれたんですね。そんななかで、HAYATOさん自身が一番意外だった反応は何でしたか。

 

GOGO!HAYATOさん:多くの子育て世代の女性から、すごく肯定的な言葉をもらったことですね。まさか女性からこんなに反応が来るとは思っていなかったので、本当にびっくりしました。「女性にピルを飲ませたり、器具を入れさせたりする人は多いけど、痛い思いをするのは女ばかり。この決断ができる男性って本当に少数派だと思う」「すごいことだよね。男らしいって、こういうことなんじゃないの?」という声も。

 

実際にミレーナを使っている女性からは、「交換するときに、なんで毎回私が痛い思いをしなきゃいけないんだろうって思う」という切実な言葉も届きました。厳しいコメントもあるなかで、僕の決断に対して、女性の方たちからそう言ってもらえたことには、本当に救われましたね。

避妊を女性ばかりの負担にさせないために

── 避妊というと、妊娠の不安もピルやミレーナなどによる身体的な負担も、女性側が背負うことが当たり前のようになっています。それを男性が自分ごととして捉え、自分の身体で引き受ける選択をしたからこそ、これだけ多くの女性に響いたのでしょうね。

 

GOGO!HAYATOさん:僕の場合は、世の中に何かを訴えようと思ってパイプカットをしたわけではないんです。妻にこれ以上負担をかけたくなかったし、これからも夫婦で仲よくいたい。男性用の避妊具だけでは妊娠を100%防げるわけではないですし、もし避妊に失敗すれば、妊娠による身体的な負担を負うのは妻です。だったら、自分にできることをしようと考えた。その結果がパイプカットだったんです。

 

でも公表してみて、「なんで毎回、女性ばかりが痛い思いをしなきゃいけないの?」と感じている方がこんなにいるんだ、ということは僕も初めて知りました。

 

── HAYATOさん自身は、実際に手術を受けることへの怖さはなかったのでしょうか。

 

GOGO!HAYATOさん:なかったですね。事前に調べて精管を処置する手術で、男性ホルモンや性機能に影響するものではないと知っていたので。怖かったのは、手術そのものより痛みでした。僕は注射が苦手なので、局所麻酔の注射だけはかなり緊張しました。しかも最初の麻酔で思わず体が動いてしまって、十分に効いていなかったみたいなんです。そのまま処置が始まったのですが、最初の「ブチッ」という瞬間は本当に痛かった(笑)。すぐに麻酔を追加してもらいました。

 

手術中は膀胱のあたりを引っ張られているような、何ともいえない気持ち悪さがありました。でも、手術自体は30分くらいで、その日は手術が終わったあと、そのままダブルワークの探偵の仕事にも行きました。

 

ただ、手術を受けたらその日から避妊しなくていいわけではないんです。僕が受けたクリニックでは、まず1週間は行為を控えるように言われて、その後、精管に残っている精子を排出するために、40回ほど射精してから検査を受けるように言われました。検体を病院に持っていって、精子がいないことを確認して、そこで初めて避妊が完了したと判断されます。「パイプカットをしたらその日から妊娠しない」というわけではないんですよね。

「妊娠したら」妻の不安をなくせたのが一番

流山狂ノ詩
2026年8月 主催するライブ「江戸川台笑店街」で

── 夫婦で決めてから2年。ようやく念願のパイプカットを終えた夜、奥さんとはどんな言葉を交わしましたか。

 

GOGO!HAYATOさん:その日は仕事が遅くなって、帰宅したときには妻はもう寝ていたんです。でも僕が帰ると起きてきて、「ありがとう。怖い思いしてくれたんだね。お疲れさま」と、言ってくれました。それがすごく嬉しくて。「ああ、やってよかったな」と、心から思いましたね。

 

手術をしたことで、夫婦仲が急に何か変わったことはありません。もともとずっと仲はいいので(笑)。でも、妻にとって「また妊娠したらどうしよう」という不安は大きかったと思うんです。その心配を減らして、これからは安心して夫婦生活を続けられる。それが、僕にとってパイプカットを受けた一番の意味だったと思います。

 

── 将来、3人の娘さんたちが大きくなったとき、今回の自分たち夫婦の決断をどんなふうに伝えたいですか。

 

GOGO!HAYATOさん:もし聞かれることがあれば、ちゃんと話したいですね。「望まない妊娠を避けるために、パパとママにとって一番いいと思う方法を2人で選んだんだ。ママとずっと一緒にラブラブでいるためでもあったんだよ」って、いつか伝えられたらと思います。

 

取材・文:西尾英子 写真:GOGO!HAYATO