火災のショックから難聴や足の痛みを抱え、沈みがちになったパー子さん。だが「おせんべいもお湯に浸す」徹底した健康管理は今も健在です。妻の目を盗んで深夜の晩酌を企む林家ペーさん(84)に、結婚54年目の微笑ましい攻防戦と、トレードマークのカメラや抜群の記憶力を支える「元気の秘訣」を聞きました。

初めて写真を撮った有名人は…

林家ペー、パー子
テレビ番組で松崎しげるさんのモノマネをしたぺーさん

── ペーさんといえばカメラと抜群の記憶力がトレードマークですが、そもそもテレビで写真を撮るようになったきっかけは何だったのですか。

 

林家さん:50年くらい前からです。当時、三平師匠がよく楽屋に来る人にカメラを向けているのを見て、僕も真似をしてカメラを持つようになったの。カメラを向けると、みんな自然と笑顔になってくれるじゃない。

 

記念すべき1枚目の写真は、郷ひろみさん。両国国技館での『オールスター紅白大運動会』でね。白組キャプテンだった郷さんを撮らせてもらった。紅組のキャプテンは山口百恵さんでしたけど、写真はないの。これも縁だわね。私たち夫婦はひろみさんの長年のファンで、ファンクラブ歴はもう46年になるんですよ!

 

それから、カメラを持ってテレビに出るようになったら、有名人のほうからポーズを取ってくれたり、「写真撮って」と近づいて来てくれたりするようになってね。いつの間にかそれが芸みたいになっちゃった。撮った写真を現像して本人にプレゼントしたら、喜んでもらえて、お礼状もたくさんいただきました。

 

家に保管していた写真の半分は、昨年の火災で燃えちゃいました。それは本当に残念だったね。それでもまだ倉庫に何千枚の写真とネガがあるのよ。今をときめく方も、もう亡くなった方も、たくさん写真があるから、そういう貴重な写真をどうしようかって、今出版社の人と相談しているところです。

 

── プライベートでも写真は撮っていらっしゃいますか。

 

林家さん:撮ってますよ。今はデジカメでね、スマホでも撮るから両方ね。出会った人の写真を撮ったり、スーパーで小松菜の値段を撮ったりね。最近、高いわよね!2020年からツイッター(X)を始めて、写真を投稿しているし、人に教えてもらいながら、スマホでLINEもやっていますよ。

 

── ペーさんは有名人の誕生日をたくさん覚えていらっしゃいますが、覚え方にコツはあるのですか。

 

林家さん:特にない。同じ誕生日の人を芋づる式に覚えていくの。そのなかに、できるだけギャップが大きい人がいると面白いよね。ちなみに僕は、寅さんと一緒。渥美清さんじゃないんだよ、渥美さんは松田聖子さんと一緒なんですよ。

 

きっかけは、高田文夫先生の『夜鳴き弁天』っていう番組なんです。もう30年以上前よね。「ペーちゃん、誕生日をよく覚えているから」って、「林家ペーの暦弁天」っていうコーナーを作ってくれたの。ランダムに選ばれた日付を見て、僕が有名人の誕生日を答えていくっていうコーナーで、有名人の誕生日だけじゃ面白くないから、フジテレビのスタッフの奥さんの誕生日とか、よく食べに行く蕎麦屋の親父さんの誕生日とか、マニアックな人の誕生日を覚えていったの。それが話題になって、あちこちで誕生日を聞かれるようになったのね。

健康志向のパー子に対する「ささやかな抵抗」

林家ペー、パー子
有名人の写真をプリントしたTシャツを着るふたり

── 記憶力を鍛えていることも、若さの秘訣でしょうか。

 

林家さん:若さって意識もないけどね、普通に食べて、寝てるだけ。ただ、うちはね、塩を置いてないの。パー子が「塩分の取り過ぎはよくない」って徹底していてね、おせんべいもお湯に浸して、塩を抜いて食べるの。すごいでしょ。醤油もソースもない。ラーメンは年に1回か2回。「ラーメンは消化によくない」っていうのが、彼女の哲学なの。だから、うちでは冷やし中華も全部そうめんで食べてる。パー子は肉がダメだから、「TBS(タラ、ブリ、サケ)」と「KDK(キャベツ、大根、小松菜)」は必需品なんです。

 

── ヘルシーな食生活ですね。

 

林家さん:ヘルシーヘルシー!そこは奥さんに感謝してます。お酒も絶対ダメだから、パー子が寝るのを待って、隠れてビールを飲んでるの。夜中に時代劇の再放送を見ながらね。パー子が夜中に目を覚ましたときのために、必ず前に牛乳を置いてビールを隠して。隠れて飲むのが楽しみなんだよね。1本だけだけどね。甘いものも、必ず1日1個。もちろん、外食もしますよ。

 

── これからもおふたりでお元気で活動していただきたいです。

 

林家さん:パー子は今、難聴もあるし、脚も痛くて、ちょっと元気がないけどね。それでもときどきテレビを見ながら「キャハハ~」って笑ってます。

 

ありがたいことに、芸人っていうのは仕事があると励みになるんですよね。地方の営業に呼んでもらって、新幹線に乗るだけでも緊張感があるでしょ。パー子は、普段は信じられないくらいの人見知りなんですけど、その反動なのか、人前に出るとすごく愛嬌がいい。今でも、道を歩いていて、高校生くらいの子たちにも「あっ」と気づかれるのは、パー子のほうなんですよ。どこか華があるんでしょうね、パー子には。ペー・パーは、彼女の存在なしにはありえないですね。

 

ここまできたら、「長生きも芸風」だと思ってがんばりますよ。

 

取材・文:林優子 写真:林家ペー