実家が「ゴミ屋敷」だった過去を明かし話題のお笑いコンビ・オダウエダの植田紫帆さん。物で溢れるたびに引っ越しを重ね、最後は大きな一軒家に辿り着いた実家の庭には、謎の天使像も。当時は逃げ出せない環境に苦しんだ彼女が、壮絶な体験を笑い話として語れるようになるまでの思いを聞きました。

ゴミ屋敷の実家「母がエレクトーンを拾ってきて」

オダウエダ
ロケでとろろ芋を掘っている植田さん(右)

── 最近、メディアで植田さんの実家がゴミ屋敷のように汚かったことを話されていて衝撃を受けた人も多いと思います。

 

植田さん:そもそも「掃除する文化」がなかったんです。床は足の踏み場がなく、通路には家具がギチギチに。なぜか年がら年じゅう、洗濯機の上には『ジュマンジ』のビデオが置いてありました。でも、当時の私は「人の家より生活感が少しあるな」とぐらいに思っていたんですよね。

 

── 間違いなく、生活感のレベルを超えているとは思いますが、ご実家はいつからどのような状態だったのでしょうか?

 

植田さん:私が小学生のころに父と母があまり仲よくない時期がありました。そのことで母のメンタルが弱ってしまい、家事全般、特に家の掃除や片づけができなくなって。チラシや書類が散乱し、買い溜めしたものが部屋じゅうにあふれかえっていました。

 

母には収集癖があり、コーヒーショップのタンブラーやらライブTシャツやらで、収納スペースはパンパン。しかも、ゴミを拾ってくることもあって。いちばん驚いたのはエレクトーン。まだ使えそうだからという理由なのですが、拾ってきたからといって使うわけではないじゃないですか。

 

── 植田さん自身が片づけたりは?

 

植田さん:小学生低学年のころはゴミやホコリが溜まる家がふつうだと思っていたんです。でも友人の家に遊びに行くようになってから、自分の家が汚いことに気づいて。中高生になってからは自分で片づけようとしたのですが、母は勝手に物がなくなったり、環境を変えられるのがイヤで「片づけないで」「捨てないで」と言われてしまい…。

 

友人から私の家に遊びに行きたいと言われることもありましたが、「絶対に呼べない」と。あるとき、弟が勝手に友人を家に呼んだことがあるのですが、「こんな汚い家を家族以外に見られた」と、ショックを受けたのを覚えています。

 

── ゴミも処分できないような状況だと、次第にものの置き場がなくなるのでは?

 

植田さん:なので、家がゴミや物でパンパンになると引っ越しをするという生活をしていました。母も引っ越しをすると気持ちがリセットされるようで、そのときだけは業者といっしょに不用品を処分できるようになるんです。不思議ですよね。

 

引っ越し当初も「きれいな状態を保とう」と決意するようですが、その気持ちは長くは持たず結局、数年経つと同じような状態になり、また引っ越しをする…という感じでした。生まれてから10軒ほど引越しを経験していますが、最後は大きめの1軒家に辿り着きました。

ずっと捨てられない天使の銅像の頭

── 今もご実家はそのような状態なのでしょうか?

 

植田さん:母は数年前に亡くなり、今は実家に弟がひとりで住んでいます。今もあかずの部屋はあるようですが、たまに家事代行などに来てもらって家事を手伝ってもらうことでリビングやキッチンはだいぶきれいになりました。

 

── 少し片づいたのであればよかったです。

 

植田さん:でも、絶対にいらないものはまだまだありますよ(笑)。どこからか拾ってきた小さな天使の銅像が庭にあるのですが、何年か前に落として頭が取れてしまったんです。それなのに体はまだ庭に置いたまま、頭はなぜかお風呂場に置いてあって。捨てればいいと思いつつも、あまりに自然に置いてあったので、いまだに置きっぱなしです。

 

── 親が高齢になるにつれ植田さんの実家のように家が物であふれて悩んでいる人も多いそうです。これからの片づけも大変そうですね。

 

植田さん:最近はずっと単身赴任をしている父が休みごとに帰ってきて片づけてくれています。ただ、3階建ての一軒家なので部屋数も多く、今は住んでいるのが弟だけなので掃除や片づけも追いついていません。価値があるもの、ないものを見極めるだけでも大変で見通しはたっていないので、時間をかけてみんなでやっていくしかないと思っています。

ゴミ屋敷から逃げ出せなかった当時のつらさ

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相方の小田さんと動画撮影中の植田さん

── 先ほど、「家族以外に家を見られるのが嫌だった」とおっしゃっていましたが、「ゴミ屋敷」で過ごした子ども時代を振り返って、ほかにつらかったことは?

 

植田さん:ハウスダストアレルギーで家族みんな体調がつねによくなかった気がします。当時は気づかなかったのですが、ひとり暮らしを始めたら体調がとてもよくなって。でも、実家に帰ると鼻水が止まらなくなるんです。

 

あとは年齢を重ねて自分の家がゴミ屋敷だと気づいてからは、そこから逃げることができない状況がメンタル的にはきつかったですね。片づけたら母に怒られ、家を出ようにもバイトが禁止でお金もない。汚い家に住み続けるという選択肢しかなかったこと、それを恥ずかしくて周りに相談することができなかったのが、当時は苦しかったです。

 

── たしかに高校生くらいまでは、自分の力ではどうにもできないですよね。

 

植田さん:それでも今は芸人になって笑い話として話せるようになりました。昔は絶対にバレたくないとふたをしていましたが、今は笑ってみんなに話せるようになったことで、すごく気が楽になったと思います。実家を出てからは反動からか、すごくキレイ好きになったんですよ。

 

── ひとり暮らしされている、今のお部屋はゴミ屋敷ではない?

 

植田さん:もちろんです。実家がそのような状況だった反動からか、ひとり暮らしをしている今の部屋はとてもきれいで、掃除も大好きです。実家を反面教師にしています。

 

でも、これまで汚い部屋で過ごせる耐性があるため、ゴミが溜まったり散らかったりした状態でも、きっと暮らせてしまうんですよね。だからこそ「もう片づけなくてもいいか…」となるのが怖く、恐怖心から片づけに追われてしまう自分もいます。

 

取材・文:酒井明子 写真:植田紫帆