「迷惑なんかじゃない」戸惑いを変えた言葉
現在、はらださんの暮らしには、介護スタッフをはじめ、家族や友人など多くの人が関わっています。たとえば、外出するために車いすに乗る際も、誰かに移動をお願いしなければいけませんし、外出先で、車いすの座り姿勢が崩れれば、周囲の人に体を起こしてもらわなければいけません。
また、病気がわかってまもなく、はらださんの介護を担うために4歳下の妹が仕事を辞めてはらださんの自宅近くへの引っ越しを決めました。はらださんは、そのことをありがたいと思う一方で、申し訳なさもあったと話します。
「幼い頃から妹の面倒を見続けてきたので、姉として、ずっと『してあげる側』でいたかったんです。元気な妹の時間を自分のために使わせていることや、家族や周囲の人に身の回りのことをしてもらうことに情けなさや悔しさを感じていました」
そんなはらださんの価値観をかえるきっかけになったのが、共通の友人を介して知り合った、車いすで生活する人の言葉でした。「知っている人も、知らない人も、『助けてください』って言ったら、ちゃんと助けてくれる。困ったらまず頼ってみたらいい」。その人と会ったのは2度ほどで、深い付き合いがあったわけではありませんが、車いすで生活してきた当事者の実感のこもった言葉を聞いたとき、はらださんは初めて「頼ることは迷惑じゃないんだ」と思えたそうです。

それからは、特定の誰かだけに頼るのではなく、「今こんな状況です」「こんなサポートが必要です」と、自分の状況や必要なことを周囲に伝えるようになりました。すると「手伝わせてよ」「何かできることある?」と声をかけてくれる友人が現れたといいます。
「そうか、私だって誰かに頼られたら、張り切って助けに行く。人と人って助け合って、頼ってもいいんだ。そう腑に落ちたら、気持ちが軽くなったんです」
はらださんが見つけたのは、ひとりですべてを抱えるのではなく、自分の状況や思いを周囲に伝えながら、必要な力を借りる方法でした。すべてを人任せにするのではなく、自分が望むことを実現するために頼る。そんな関わり方が、はらださんの「やりたい」を形にすることにもつながっていきました。