代理母に望みを託すも、予想外の結末が

いとうゆき
49歳で3度の流産を経験し、気持ちを変えようと愛犬を迎えたとき

── 代理母は日本では馴染みがないですが、いとうさん夫婦が保存していた受精卵を代理母のお腹に戻し、代理母が妊娠、出産するということですか?

 

いとうさん:そうです。おっしゃる通り日本では難しいと思いますが、アメリカではたとえば不妊治療がうまくいかないとか、子宮を摘出した人、男性同士のカップルなど、さまざまな背景の人たちが代理母出産を選択肢のひとつとして考えています。代理母出産には数千万円以上という莫大なお金が掛かりますし、その後の人生にも大きく影響します。それでもふたりで慎重に考えた結果、代理母に妊娠を託そうと思いました。

 

また、私も今まで長い間不妊治療を続けてきましたが、最後のあがきで、残っている受精卵を自分のお腹に戻しました。すると、ここにきて私の妊娠がわかり、その1か月半後に代理母の妊娠が確認できたんです。

 

── すごいタイミングですね。

 

いとうさん:驚きました。ただ、私の妊娠に関しては今まで何度もチャレンジしてもうまくいかなかったので、もちろん嬉しい気持ちはありましたが、過剰に期待しないようにしていました。ただ今回は、私が出産できなくても代理母が頑張ってくれるだろうという安心感が大きかったですね。結果的に私が1月に出産し、代理母が早産になって2月に出産。長女と次女が1か月違いで誕生することになりました。

 

紆余曲折を経て結果的に子どもに恵まれました。でも、もし夫とふたりだけの生活になったとしても、幸せだったと思います。血を見るだけで倒れてしまう夫が、私と子どものために手術を決めてくれたこともそうですし、出産に至るまで何度も夫婦で話し合いを重ねながら信頼関係も強くなりました。どの方向に進んでもできることはすべてやったので後悔はないと思います。そのとき最良だと思える選択をしてきたことで常に最善を尽くせたと思っています。

 

取材・文:松永怜 写真:いとうゆき