嫌な環境に居続けることのほうが「逃げ」だから

松岡千晶
女流プロ時代。タレントやグラドルの台頭で焦りもあったと語る

── 八丈島への移住は、心身のつらさから衝動的に決めたわけではないんですね。

 

松岡さん:そうなんです。私は以前から「1000万円貯めたら、もしくは30歳になったら新しいことを始めよう」と目標を立てていました。釣りや家庭菜園が趣味なので、移住もある程度、計画的に考えていたことでした。「ここから逃げる」という気持ちはなかったですね。「私はまだ全然やれる。違うところでゼロからやり直そう」という、むしろワクワクした気持ちでした。

 

── それまで東京で築いてきたキャリアを手放す怖さはありませんでしたか?

 

松岡さん:どうでしょうか。もちろん、仕事も知り合いもゼロの場所に移り住むので、勇気は必要です。でも、挑戦するのが怖いからといって、嫌な環境に居続けるほうが、私にとっては「逃げる」ことだったんですよね。

 

東京で積み上げてきたものを手放すというより、東京で働きながらお金や経験を積み上げたその先に、移住という選択があったという感覚なんです。

 

── 環境を大きく変えることが難しい人も多いと思います。今いる場所が自分に合っているかを考えるには、何から始めればいいと思いますか?

 

松岡さん:明日から全部変えようと焦る必要はないと思います。日々の生活のなかで「何がストレスなのか」「本当はどうしたいのか」に自分で気づいてあげることが大事なんじゃないでしょうか。

 

自分の得意なことと不得意なことを明確にすることも大切だと思います。不得意なこととずっと向き合い続けるのはやっぱりしんどいですよね。そのうえで、少しずつ自分のための小さな選択をしていくだけでも、心の負担は変わってくると思います。

 

取材・文:イワイユウ 写真:松岡千晶