「プロの独身」を名乗るOLのミカ。さん。33歳で結婚を意識した彼氏と破局し、「やっぱり私は結婚できないのかぁ」と打ちひしがれた彼女は、なぜ5年で星野リゾート全制覇という壮大な目標に挑んだのか。75施設(閉館した施設も含む)を巡り終えた38歳の今、「彼氏や結婚がゴールじゃない」と語る彼女がたどり着いた、新しい生き方の景色に迫ります。
「決めて、やり通す」ことが人生で初めてできた

── 当時付き合っていた7歳年下の彼氏との結婚を期待していた矢先に、大失恋を経験され、そのことをきっかけに特別感を満喫できる星野リゾートに惹かれたそうですね。結局、超節約生活で貯めた400万円を使って、5年間で星野リゾートを全制覇されました。簡単なことではないと思いますが、印象に残ったハプニングはありましたか?
OLのミカ。さん:いろいろありました。私は新しくオープンした施設にはなるべく早く行くと決めているのですが、2024年春から新しい施設が立て続けにオープンしたこともあり、気づいたら12月から1月にかけて5週連続で予約しちゃっていたんです。そのときはさすがに「私、何してんの?」って自分でも驚きました。
結局、年末は北海道の「OMO7旭川」に行ってカニをたらふく食べたあと、2024年9月オープンの「界 奥飛騨」へ。お正月は実家で、母親が気合を入れて作ってくれたおせち料理やご馳走を完食。1月4日から6日は、ラーメンや海鮮などのグルメが目白押しの、2024年7月にオープンした「OMO5函館」に行って。「もうお腹いっぱい、食欲がわかない…」って、ある意味、絶望的な気持ちになりました。
それ以降、決めたルールは「お正月明けに北海道旅行は入れない」こと。それと、花粉症の時期の露天風呂は結構しんどいので、3月は旅行に行かないとか、やりながらわかっていったことを決めごとにしていきました。
── いろいろな経験をしながら旅を楽しまれていたのですね。そんなふうに、星野リゾートを巡るなかでご自身のなかで変化を感じたことはありますか?
OLのミカ。さん:今までずっと、中途半端な人生でした。大学時代に「留学したいな」と思ったこともあったけれど、結局行動に移せなかったり。「もっとこうすればよかった」って心のどこかで後悔しながら、でも、ネイルとか外食とか年1回の海外旅行とか、人並みに楽しめているからいいやって思っていたんです。
そんな私が、星野リゾート全制覇を5年間でやり遂げると宣言して、本当に達成できた。「決めて、やり通す」という、今まで避けてきたことをちゃんと実現できたのがすごくうれしかったんです。まわりからも「やり遂げる人」みたいに思ってもらえて。周囲の人の評価や他人から見える自分のキャラクターがどんどん変わっていくことを日々実感していました。
「プロの独身」を語るようになった理由は

──星野リゾート全制覇を目指していることを発信する際、ご自身を「プロの独身」だと表現されていました。どんな思いが込められていたのでしょうか。
OLのミカ。さん:「プロの独身」っていうのは、選んでこうなったというつもりではなくて。5年前、結婚を意識していた彼氏に33歳でこっぴどくフラれて、そうなっちゃったという気持ちで自虐的に言っていました。本当に運命を受け入れるしかなかった、というか。
いっぽうで、私も使ったことがあるのですが、マッチングアプリが世に登場してから、昔よりは気軽に彼氏を探せるようになりました。でも、私の場合は、5年前に33歳で彼氏と別れたときは、「マッチングアプリで新しい彼氏を探そう」「また誰かと付き合って楽しもう」みたいな未来像がいっさい描けなくて。むしろ、マッチングアプリで義務感にかられた相手探しをいつまで続けなきゃいけないんだろうって思ったんです。
最初、月1回ベースに、星野リゾート全制覇の5か年計画を立てたときは33歳。ここから38歳までの5年間を、今まで楽しんできたことは全部あきらめて、金銭的にも気持ち的にもすべて星野リゾートにかけることになるかもしれない。それはそれで有意義な時間なんじゃないかなって。
── 振り返って、星野リゾート全制覇を達成できてよかったですか?
OLのミカ。さん:よかったです。別に彼氏ができても、結婚しても、そこが人生のゴールというわけじゃない。そんなことが改めて実感できました。独身だとそこがどうしてもゴールっぽく見えるというか、彼氏ができたら幸せになれる気がするし、結婚できたら幸せになれる気がするし、子どもがいたら幸せになれる気がするって思っていたけれど、別に彼氏ができても、それとは別に、自分の人生をちゃんと考えないといけないなって思うんです。
彼氏にフラれて、星野リゾートを全制覇すると決めてから、そのことにやっと気づけて、自分の人生をどうするか、考えることができました。
実は最初、33歳で星野リゾート全制覇するって決めたとき、まわりから止められたり諌められたりするんじゃないかと思っていたんです。「30歳すぎた大人なんだから、そんなことしてないで、ちゃんと地に足をつけた行動を取りなよ」「だからお前は結婚できないんだ」って、批判されたりするかと思っていました。
でも、批判されるどころか、むしろ「頑張って」って応援してくれる。そのほうがびっくりしました。結婚している方からは、「もし結婚してなかったら、こういう道があったのかな」って、私の言動を受け入れてくださるようなコメントをもらえたり。
そんなことがあって、いかにこれまで自分が他人からどう思われるかを気にしていたかに気づけたし、自分が本当は何をしたいのか、どう生きたいのか、自分と向き合って考えて、行動したいって思えました。これも、全制覇するって目標を貫いたから気づけたことだと思います。
次なる目標は、ずっと諦めていた「海外留学」

── これから何かやりたいことはありますか?
OLのミカ。さん:海外留学です。実は、星野リゾート全制覇が終わることが近づいた頃、「もしかしたら、燃え尽き症候群になるんじゃないか」って思っていたんです。それで、「次は何やりたいかな」って考えたとき、やっぱりどうしても留学だけは行きたいと思って。学生時代から留学したかったけど、20代、30代になって「ああ、できない人生になっちゃったな」って後悔していたことがどうしても引っかかっていました。
それで一度実家に戻ってお金を貯めてまずは予算内で、カナダに2か月行ってみる予定です。星野リゾートを全制覇したことがきっかけで、今はカナダに行く決断ができたことが嬉しくて。ずっとできなかったから、できると思えることが涙が出るくらい自分を勇気づけてくれました。つい2025年まで、「行きたいけどもう行けない」って諦めていたので、1歩進めそうだなと思っています。
星野リゾート全制覇は本当に楽しいことだけをギュッと詰め込んだ旅だったけれど、英語が必須の留学では、確実に苦労も乗り越えなきゃいけない。それでも今は挑戦するのが楽しみです。
取材・文:たかなしまき 写真:OLのミカ。