「子どもはいなくていい」夫が放った優しさ

── 結婚前の女性が27歳の若さで卵巣を失うことについて、将来を悲観してしまうこともあったのではないでしょうか?

 

西脇さん:右の卵巣の全摘と左の卵巣の一部を摘出しました。「子どもは産めなくもない」と先生に言われたものの、妊娠できる可能性はかなり低いことは自分でも理解していました。でも、正直、悲観する間もなく、退院してすぐに魁皇と出会えたことは幸運でした。

 

── 退院されたときに「お相撲さんに会うと元気がもらえるから」と、知人の方が食事会を開いてくれた席に魁皇関がいらしてくれたそうですね。 

 

西脇さん:病み上がりの私を励ましてくれる会だったので、出会った当初から私が卵巣がんだったことを知っていました。結局、その出会いから交際し結婚となったわけですが、親方は子どものことについては何も言わなかったですね。1度だけ、そういった話になったときには、「俺は子どもがいてもいなくてもいい」と。

 

事情を知らない人たちからは、結婚後に「大関と元プロレスラーのDNAが入った強い子が生まれるんじゃないの?」と、悪気なく言われることが多かったですが、当時、魁皇がケガで腰を痛めていることは周知の事実で「治療に専念しているから難しそう」と、ごまかしていたこともありましたね。

 

もちろん「子どもがいたらどうだったのかな?」と、思うときもあります。でも、大関の面倒を見ることに精いっぱいで、子どもについて考えるヒマはなかったのも事実。私のキャパシティを考えると、大関のことだけに専念できたのはよかった。子育てしながらおかみさんをやっている方も多くいらっしゃいますけど、本当に尊敬しかありません。

 

西脇充子 魁皇
500名以上が参列した、ホテルニューオータニで開かれた盛大な結婚披露宴

── 現在は浅香山部屋のおかみさんとして、12人の弟子たちのお母さん代わりとしてサポートもしています。

 

西脇さん:うちの子たちが本当にかわいすぎて。私、自分にこんな母性があると思っていなかったんですよ。もともと子ども好きでもなく、彼らが来てから自分の母性を知りました(笑)。お母さん代わりとして、彼らに入れ込みすぎる様子を親方が心配したこともあって、そこからは頭の中で「この子たちはお預かりしているだけ。いずれ親元に帰る」と、意識しながらサポートしています。