今秋パリで世界初のストーマ(人工肛門・人工膀胱)の装具を現代アートにしたファッションショーが開催されます。日本で22万人存在する、排泄物を貯める専用の装具(パウチ)を装着しながら生活するオストメイト。装具は「隠すもの」という認識が強いなか、オストメイトモデルとしてショーに登場する医師のエマさんに意気込みを伺いました。

医療とファッションの舞台に「緊張と責任感」

── 今秋パリで開催予定のファッションショーは、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のパウチを「魅せるアート」にした世界初の試みだそうですね。病気などの理由から腹部に排泄のためのストーマをつけた人はオストメイトと呼ばれていますが、エマさんはそのショーでオストメイトモデルとして登壇すると伺いました。

 

エマ 大辻 ピックルスさん(以下エマさん):今回のファッションショーで使用する衣装はすべて新作で、京都の伝統工芸の西陣織を使い、金箔が入ったゴージャスなドレスになるそうです。私は大トリだと聞いています。

 

エマ 大辻 ピックルスさん
誰かのロールモデルになれたらと話すエマさん

医療とファッションがコラボレーションしたプロジェクトで、とても大きな意義があるものを背負っているので、自分がしっかりその役割を果たせるかという緊張と責任感が、今から日に日に強くなっています。

 

これまでもオストメイトモデルとして活動した際にデザイナーさんが手がけた衣装を着用してきましたが、パウチは医療器具ではなく、もはやファッションの一部にしか見えませんでした。今回もどんな衣装になるか楽しみです。

 

── オストメイトになって7年が経つと伺いました。

 

エマさん:「排泄がここまでコントロールできなくなるんだ」というのは、7年経った今でも感じます。自分の意思に関わらずシャワー中でも、食事中でも排泄物が出てきてしまいますし、先日コンサートに行った際も、よりによってショパンの静かな曲のときに「ブーブー」とガスの音が鳴り始めてしまって。「もっと違う曲のときがあったのに」と思ってしまいました。パウチの上に手を当てて音を抑えて、そのあと曲の合間にトイレに急いで。次からは通路側の席を取ろうと思いました。

 

── 外出先ではオストメイト対応のトイレを使っているのですか。

 

エマさん:ありがたいことに最近はオストメイト対応のバリアフリートイレが増えてきていて、そのコンサートホールにもオストメイト対応トイレが2つありました。1つは足が不自由な方が入られて、もう1つのトイレはなかなか開きませんでした。その日に限って白のスーツを着ていたのですが、よりによって少しリーク(漏れること)してしまっていて。

 

外出先でトイレに行けずに中身が爆発してしまうのはすごくハラハラします。しばらく待って中から成人女性が出てきたのでトイレに入りましたが、モヤモヤした気持ちが残りましたね。外から見えない障がいもたくさんあるので、オストメイトマークもヘルプマークのように皆さんにもっと認識されるといいなと感じますね。

 

そうはいっても、日本はオストメイト対応トイレが普及しているほうなので、パリではどうなってしまうんだろうと心配です。ショーの当日は何も食べずに出ようと思っています。