1年経った今も残る、犬への恐怖心
── 事故直後は、父親の看取りと重なり、自分の心のケアができなかったとおっしゃっていました。1年が経った今、犬への怖さは変わりましたか。
小島さん:実は時間が経ってみると、自分が思っていた以上に犬への恐怖心が残っていることに気づきました。散歩しているワンちゃんを見かけると、無意識に遠回りして避けている自分がいて。
この間、沖縄の友人の家を訪ねたときも、「犬がいるよ」とは聞いていたのですが、玄関先で姿を見た瞬間、足がすくんで思わず身体が硬直してしまって。こちらが怯えているのが伝わったのか、犬も警戒するようにものすごく吠えたんです。結局、私は玄関より先に進めず、家に入ることができませんでした。あのとき、小さな犬すら怖くなっていることを実感しました。
心療内科も受診しました。ただ、何もないときにも思い出してパニックになったり、日常生活に影響が出たりする状態ではないので、PTSD(心的外傷後ストレス障害)ではないと説明されました。私のように、犬が目の前にいるときだけ強い恐怖が出るのは「限局性恐怖症」というものらしいんです。日常生活の中でできるだけ犬と関わらないようにするしかない、という説明でした。今はそうして折り合いをつけています。
取材・文:西尾英子 写真:小島可奈子