知人だからこそ避けたいトラブル

── 知り合い同士で治療費や補償の話をするのは、かなり気をつかう場面だったのではないですか。
小島さん:相手からは謝罪の言葉をたくさんいただきました。ただ、「申し訳ない」という謝罪をずっと聞き続けるのもつらいですし、知り合いとお金のやり取りをするのは、どうしても気をつかいますよね。直接やり取りをしているうちに、悪気のない言葉のあやでお互いが傷ついてしまうかもしれない。だから、早い段階でプロに任せたほうがいいと考えました。
最初は相手の賠償責任保険にお願いしようと、一度、保険担当者とお話ししてみたところ、人前に出る仕事のことなどを考慮してくださってないように感じ不安を覚えました。専門知識を持つ相手に対し、知識のない私が対峙する難しさを感じました。
そんなとき、保険に詳しい友人から「自動車保険の弁護士特約が、怪我の場合にも使えることがある」と聞き、弁護士さんに入っていただくことにしたんです。感情の部分と補償の話を分けられたことで、少し気が楽になりました。
── その方とは今、どのような距離感なのでしょうか。
小島さん:まだ書類の手続きなどがあるので、今はその件に関してのやり取りは控えています。相手に対して何か思うところがあるわけではないんです。想定外の事故ですし、直前まで仲良くご飯を食べていただけですから。知人だからこそ責める気持ちにはなれないし、犬を責めることもできません。
とはいえ、無理に自分を我慢させるのも心がつらい。個人間で抱え込まずにプロを挟むことが、お互いの関係性をこれ以上壊さないために必要な選択だったと思っています。
── 事故の公表後、「近づいた人間側が悪い」という声が届くこともあったそうですね。
小島さん:経営している会社の問い合わせ窓口に連絡が来たり、SNSでも「ワンちゃんが悪く言われてかわいそうです」というコメントをいただいたりしました。もちろん私には犬を悪く言うつもりはこれっぽっちもありません。そう受け取られてしまったことに対して「ごめんなさいね」とお返事をしたこともあります。いろいろな受け止め方があるのはわかります。
ただ、私自身、まだ怖さが残っている状態です。批判のすべてを受け止めようとすると気持ちがもたないため、今は自分の心を守るために、必要以上に周囲の反応は見ないようにしています。