コンビニ勤めで「できない自分」の壁にぶつかり
── 具体的には、コンビニのどんな作業で壁にぶつかったのですか。
なんばさん:複数の作業を同時にこなすことが、本当に難しかったんです。棚の補充のように自分のペースで黙々とできる作業は問題ありません。でも、レジでお客さんの対応をしながら、ホットスナックやコーヒーを準備したり、さらに公共料金の支払いや宅急便の受付といったイレギュラーな業務が重なったりすると、頭の中がグチャグチャに。
とくに苦戦したのが袋詰めでした。重いものを下にして、潰れやすいものを上にする。温かいものと冷たいものを分ける。お客さまを待たせないように、その場で段取りを判断しなくてはいけないことがいくつもありました。

── なんばさんは「頭でイメージしたものを形にする作業が苦手だった」とおっしゃっていましたね。袋詰めも、そこにつながる難しさがあったのでしょうか。
なんばさん:美術で絵が描けなかったときと似ていて、完成形をイメージして形にすることがすごく難しいんです。袋の中でどう収めるかを考えていると、そちらに意識が持っていかれてしまって、お箸を入れ忘れたり、お釣りを間違えたりといった次の作業が抜け落ちてしまう。そういうミスが重なっていきました。
会社員になってからも、仕事を覚える段階で同じようにつまずきました。業務を教えてもらっても、それが全体のどこにつながる作業なのかが見えず、自分が何に困っているのか、何を質問すればいいのかがわからないんです。
電話応対では相手の話を聞きながら同時にメモを取ることが難しく、電話が鳴るだけで怖くなることもありました。空気を読んで「察しろ」と求められる場面でも、何を期待されているのかわからない。周囲に助けられながら5年半勤めましたが、最後は心身に限界を感じて会社を辞めました。