離れて感じた不安と夫の「意外な提案」

── 毎日一緒に過ごしていると、どうしてもダメージが出てきますよね。

 

杉野さん:修理できるお店をネットで探し、依頼することにしました。当時は今ほど専門サービスもなく不安でしたし、きれいになるとはわかっていても、大事な家族なので1日でも離れるのがつらくて。宅配便で送り出してから帰ってくるまで「ちゃんと着いたかな」「今どんな作業をしてるんだろう?」とずっと心配していました。

 

そんな話を夫にしたところ「それなら、安心できるサービスを作ってみたら?」と提案されたんです。

 

── 旦那さんのアイデアだったんですか。

 

杉野さん:私は不妊治療の際に仕事を辞めていて、その頃は主婦としてほとんどの時間を家で過ごしていました。いっぽう、夫は仕事が忙しくて家にあまりいられなくて。子どもを亡くした私が家にひとりでいるのを心配し、「何か新しいことを始めたほうが精神的にもいいのでは」と思っていたようです。

 

また、私の実家は婦人服などを仕立てる縫製業を営んでいるんです。私が修理サービスを始めることで実家に縫製のことなどを相談する機会が増えれば、私と実家のつながりがより密になる。それは、私のためにも、親のためにもいいことなのではと考えていたとも聞きました。

 

── 杉野さんを思ってのことだったんですね。杉野さんはその提案を聞いてどう思いましたか?

 

杉野さん:正直「この人、何言ってるんだろう?」と(笑)。私はもともとIT業界でプログラマーとして働いていたので、縫製やクリーニングとはまったくの畑違い。小さい頃に親の手伝いはしたことはあったものの洋裁の技術もないし、最初は間に受けていなかったですね。

 

ただ、ちょうどその頃、友達と一緒にぬいぐるみを連れて出かけては写真を撮る、今で言う「ぬい活」を始めていたんです。仲間と交流するうちに、みんなぬいぐるみがかけがえのない家族の一員になっていることを実感しました。

 

そのいっぽうで、10年20年大事にしているボロボロのぬいぐるみや汚れが目立つぬいぐるみを連れてくる方も多く、「ぬいぐるみを自分で修理したいけど無理」とか「修理に預けたいけど離れるのがつらい」と悩みを聞く機会も増えて。私と同じような気持ちの方がたくさんいるんだなと実感し、なにか力になりたいとサービスを始める決心をしました。