パニック症だから出産が難しいわけじゃない
── 産後の体調はどうだったのでしょうか?
村西さん:ホルモンバランスの変化もあり、そのまま産後うつに突入、と精神的にひどい状態でした。帝王切開したばかりでお腹も痛いのに、病院でじっとしていることができずに逃げ出したくなる。特に夜中に不安や恐怖心が襲ってきて、お腹の傷が痛むのを抑えながらナースステーションへ行き「ちょっと外の空気を吸いたいんです」と泣いて看護師さんに訴えて。「外のベンチに行きましょう」と落ち着くまで一緒にいてもらいました。あまりに大変な毎日で当時の記憶があやふやですが、鎮静剤を点滴して眠れるようにしてもらった日もありました。
さすがにこれは深刻な状況だということで、退院前に提携している精神科の病院に連絡してもらい、赤ちゃんを産科病棟に預けたままタクシーで向かいました。先生が親身に話を聞いてくださり、薬を適切に使って乗りきっていきましょう、大丈夫ですかからね、と言ってくださり、強めの抗不安剤や睡眠導入剤など何種類か薬を処方してもらいました。産婦人科を退院後は、そのまま産後ケアの病院に5日ほど入院。入院中も夜中は不安感が強くなるので、助産師さんに背中をさすってもらったり、誰かに電話をして話を聞いてもらったりしていました。いま思い出しても、どうやって生きてきたのかと思うくらい、産後は特にしんどかったです。
誤解しないでほしいのですが、パニック症だから出産が難しいというわけじゃないです。ただ、もし過去に発症したことがあるなら、産前・産後はホルモンバランスの変化によって発症する場合があることを自覚して、早めに信頼できる精神科を予約して薬をもらっておくと安心です。
そして「こんなこと言う必要あるかな?」と決めつけず、産婦人科にも全部さらけ出して心身の状況を相談しておくこと。妊婦でも授乳中でも飲める薬があるということを、私も今回学びました。これを知っておけば安心して出産に挑めると思います。私は1人目の出産時に問題なかったので油断してしまってすべてが後手後手になり、気がついたら悪化していました。もうあんな怖い思いは誰にもしてほしくないです。
── 当時、ご主人はどんな様子だったのですか?
村西さん:1歳の長女と、飼っている犬もいたので、夫は夫でいっぱいいっぱいの様子でした。働きながら長女をワンオペで面倒見るのも初めてでしたし、「申し訳ないけど自分のことは自分でやって」と。話を聞いてほしいという気持ちはあったのですが、今はこれ以上、負担をかけられないと思いました。産後は私の体調を心配した友達が次々と次女の出産祝いを兼ねて会いにきてくれて、人と話すことでなんとか気持ちを保っていました。

いちばん精神的なよりどころになってくれたのは、同じ保育園のママ友です。その方が、次女を出産直前の長女の参観に現れた私の顔を見て「なんだか放っておけない」と思ってくれたようで、産後にまめに連絡をくれて産後2か月が経った頃から外にも連れ出してくれるようになりました。上の子も下の子も年齢が同じで、産後の体調のトラブルも同じように経験し、ささいな話に共感してくれ、本当に救ってもらいました。今でも精神的にすごく支えてもらっています。