不仲になったら子の長所を書き出してみる
── 発達障害の診断を受けた4人のお子さんの子育てが終了した祐子さん。思春期など、どうしても子どもとの関係がうまくいかないときはどうしていましたか?
堀内祐子(以下、祐子)さん:長男と大バトルしていたとき、彼のマイナス面ばかり見えてどうしようもなかったので、A4の紙に長男の長所を書き出してみました。関係性が悪いので、最初はいいところなんてひとつも浮かばないわけですよ。書くことがないから「イケメン」って書いてみたり(笑)。
最初はそこから「背が高い」「筋肉隆々」と書いていたのですが、次第に「頭の回転が早い」「子どもに好かれる」「優しい」など、内面的なポイントも浮かんできて、最後は紙いっぱいに書き尽くすことに。
そうしたら、長男がいいやつに思えてきて彼への見方が変わり、いい感じで接することができるようになりました。その紙をダイニングテーブルに置いておいたら、彼は数日間、機嫌がよかったです(笑)。これは、4人の子どもたち全員にやりました。まぁ、端から見たらだいぶ親バカなんですけど(笑)。

── それは手軽に取り組めそうですね。主に注意不足や多動などの発達障害の特性により子ども4人あわせて交通事故7回、救急車には10回乗るなど、大変な時期もあったと思いますが、祐子さんのお話を通して、前向きに子育てしてこられた印象を受けました。
祐子さん:周囲からよく「大変なはずなのに明るいね」「ポジティブだね」と言われるんですが、油断するとどんどん不安が湧いてくるので、意図的に不安を消して、気持ちを立て直しているんです。私が落ち込んだり、イライラしたりすると子どもたちにも伝わってしまいます。ですから、自分で自分の気持ちをケアするためにも、末っ子が幼稚園に入ったくらいから、趣味の時間を捻出するように。トールペイントに夢中になって気分転換するなど工夫していました。
子どもが不登校中でも、それは子どもの問題であって、親まで暗くなっていては家庭の雰囲気が悪くなります。不登校のことで頭がいっぱいになりがちですが、親が好きなことをしてニコニコしていれば子どもは安心します。もちろん一緒に悩み、模索していましたが、信じて見守っていたら、それぞれ自分の道を見つけてのんびり歩き出しました。
私はふだんから、ものごとのいい面を見るようにしています。また、子どもが出かけるときの言葉がけも「がんばってね」ではなく「楽しんでね」と言っています。ですから、次男が就職の面接に出かける際も、「面接楽しんでね」と声をかけていました。大変なできごとに出合っても、「これはいいことの始まり」とつぶやき、根拠がなくても「大丈夫」と心の中で繰り返します。これからも「能天気」で、そして「親バカ」でいようと思います。
取材・文:岡本聡子 写真:堀内祐子、堀内拓人