今年9月で還暦を迎えるタレントの彦摩呂さん。現在もグルメリポーターとして大きな存在感を放ちますが、「仕事をすればするほど太っていく」という悩ましい問題と長年葛藤してきました。一昨年、自己最高の体重となる135キロに到達し、デブ仲間に相談すると返ってきたのは、「こっちの世界に帰ってくるなら今だ」との非情なアドバイスでした。

「海の宝石箱や」でグルメリポーターの地位を確立

── 彦摩呂さんと言えば、やはりグルメにかかわるお仕事がメインでいらっしゃいますよね。特に食リポでの表現力はズバ抜けて素晴らしいと感じます。

 

彦摩呂
三重で巨大エビフライを実食。表情も最高な彦摩呂さん

彦摩呂さん:アイドルからバラエティに移行し、リポーターの仕事を始めたばかりのころは、芸能人のお宅訪問から動物番組まで、いろいろな番組から呼んでいただいたんです。グルメはその中のひとつでした。ただ、自分らしさをどうすれば出せるか、試行錯誤していて。カメラマンさんが撮影しやすい食べ方なんかは研究して工夫できるようになりました。でも、彦摩呂らしいフレーズがなかなか生まれない。

 

グルメリポーターの先輩、石塚英彦さんには「まいうー」という素晴らしいフレーズがある。グルメじゃないけど、同じ事務所の松村邦洋くんには「バウバウ」がある。仕事は順調に増えていったけど、僕には、彼らのような「これ」という決め手がなかったんです。

 

そんなとき、2005年に北海道の市場でのグルメリポートで、目の前に海鮮丼が現れたとき、刺身がとにかく新鮮で、照明さんが当てたライト越しにキラキラ光ってね。イカがオパール、マグロがサファイヤ、イクラがルビーに見えたんです。それで思わず、叫んだの。「わあ~、まるで海の宝石箱や」って。

 

自分にとっては、本当に自然に出た言葉でした。だけど、食べ物をほかのものに例えることは、食べ物を敬う気持ちではなくふざけているように思われるから、カットされるんだろうなと思ってたんですよ。そうしたら、オンエアでは字幕スーパー付きで使ってくれたんです。

 

── そんな経緯が。食べ物をほかのものに例えるのは、あまりよくないことだったんですか?

 

彦摩呂さん:というより、僕は、食べ物への敬意を損ねる気がして、例えないようにしていたんです。食べ物って、料理人がちゃんと作ってくれて、それを見て「食べたい」って思う人がいる。味を伝えるグルメリポーターとして、僕のコメント次第でお客さんが食べるかどうかを判断するかもしれないから、僕には責任がある。

 

だけど、「宝石箱」というフレーズから、世間の方々には、キラキラしていておいしい食べ物として受け入れてもらえたんでしょうね。それからは、食べ物に敬意を表しながら例えるようになりました。親子丼を見たら、「うわあ、鶏肉と卵の三者面談や」とかね。

 

それがそのうち、「彦摩呂節」とか言ってもらえるようになって。明石家さんまさんから、「ええの見つけたな」と言ってもらえるまでになり、本当に嬉しかったですね。ちなみに、この「宝石箱」、2025年で20周年だったんですよ。