48年の相撲人生に幕を下ろした父に
── その後、23年7月に日本相撲協会を退職されました。家族にとってこちらも大きな出来事だったのかと思います。
アイリさん:父は65歳まで相撲協会にいることを目標に掲げてきました。48年の相撲人生に幕を閉じた寂しさはあったと思いますが、安堵感のほうが強かったと思います。
「相撲しかないから」と言いきる父を見ながら育ってきましたが、私自身、相撲部屋の娘というアイデンティティの終わりでもあり、1歳の頃からお相撲さんがいる環境で育ってきたので、胸にグッとくるものはありました。
母は、父より寂しそうでしたね。結婚して芸能界を引退して相撲部屋のおかみとしてずっと走り続けてきた母にとっても大きなことだったと思います。部屋を閉じて数年は「みんなどうしてるかな。元気にしてるかな」と気にしていて、慣れたのはここ最近じゃないかな、と思います。
父が元大関だったことで、私は相撲部屋の娘として生まれました。そのおかげでたくさんの人に出会い、人が経験できないようなこともたくさん経験させてきたと思っています。周りの方々にいつも暖かく見守ってもらいながら家族と共に過ごせたことに、本当に感謝しています。
取材・文:松永怜 写真:アイリ