中学卒業後に弟子入りする同世代のお相撲さんに

アイリ
家族旅行をしたとき、左からアイリさん、父、母

── 思春期の頃は、お相撲さんが日常にいる環境に戸惑いを感じることはありましたか?

 

アイリさん:戸惑いというほどではないんですけど。小さい頃は大きいお兄ちゃんたちがたくさんいて、みんなにかわいがってもらった記憶があります。

 

学生時代は同世代のお相撲さんから刺激を受けたというか。お相撲さんって、早い人だと中学卒業と同時に弟子入りして部屋に入ってくるんです。中高生の私がぬくぬくと…といったら変ですが、学生生活を謳歌している間に、同世代のお相撲さんは必死に稽古をしているのかと思ったら「自分もちゃんとしなきゃ」と気が引き締まりましたね。

 

── 同年代の頑張る姿は励みになりますよね。それに限らず、日常的に間近で力士を見ていたら、前向きな刺激を受けることはありそうですね。

 

アイリさん:それはおおいにありますね。相撲は一瞬の勝負です。わずか1分にも満たないような短い時間に命を掛けるスポーツって、ほかになかなかないと思うんですよ。結果がすべての土俵で、その一瞬のために全力で日々、ハードな練習を積み重ねていく姿を見ていると、自分を律するというか、瞬間瞬間を大事にしようとは常に思っていました。

 

稽古もよく見学していたのですが、みんながあまりに必死で見ていられない時もあって。特にあと少しで番付が上がりそうなお相撲さんに対しては、どうにか引っ張り上げようという思いから、激しい稽古になることも少なくありません。体力も尽きて、ズタボロになりながらも必死に食らいついている姿に、目を背けながらも「頑張って」と心の中で応援していました。

 

── そんな力士の懸命な姿を、弟子入り直後から引退まで見届けているわけですよね。親心というか、そんな気持ちにもなるものですか?

 

アイリさん:そうですね。今でこそ、学生時代に相撲を経験した実力者の入門も増えてきましたが、昔は「ただ体が大きかったから」という理由で入る方もいましたし、体格もヒョロヒョロで回しをつけてもお尻が見えちゃうみたいな方もいたんです。最初は開脚すらできなかったのに、次第に体格が大きく、回し姿が似合うように成長していく姿を見るのは、頼もしかったですね。

 

いっぽうでお相撲さんたちが引退して部屋を出る時は寂しかったですね。父が65歳で相撲協会を定年退職するタイミングで部屋を閉じ、他の部屋に移る人もいれば、引退する人もいて。グッとくるものがありました。