父が語った「18歳の娘を追い返した理由」
── その後、「卒業を惜しまれる人になれた」と感じたタイミングがあったのでしょうか?
村重さん:ある日、今まで私のことをあまりよく言っていなかったファンの方が、「村重がこんなに変わると思っていなかった」「今や卒業したらいちばん困る人物になってしまった」とSNSに投稿しているのを見かけて。
そのときに、「そうか、これが惜しまれる人ということなのか」と合点がいきました。そのあと、18歳で追い返されて以来初めて実家に帰り、父に「そろそろ卒業を考えている」と伝えたのを覚えています。
── そんな境地に至るまで、努力されたんですね。追い返された当時の話をご両親とすることはありますか?
村重さん:あります。父に話を聞くと、あのとき私に強く言ったのは、「途中で逃げ出す人間になってほしくなかったから」だったと。自分で「行く」と決めて福岡まで行ったのに、うまくいかないから辞める。それを許してしまったら、この先どんな仕事に就いても、そういう人間になってしまうぞ、と。その言葉は本当にそうだなと思いますし、大人になってから、めっちゃ感謝しています。
── 現在のご家族との関係はいかがですか?
村重さん:もともと、すごく家族仲がいいんですよ。ギクシャクしていた時期もありましたが、両親は基本的に私のことが大好きなので(笑)。両親が東京に来たときは、すでに上京している妹と両親と過ごすことが多いですね。みんなで飲みに行ったり、家でパーティをしたり。
── 今の明るい村重さんの姿の裏には、ご家族の厳しさと愛情があったんですね。
村重さん:そうですね。厳しかったですけど、そこにはちゃんと愛があったんだなと思います。
あのとき実家に受け入れられていたら、今の自分はいなかったかもしれません。逃げたいくらい苦しかった時期もありましたけど、その経験があったからこそ、今こうして活動できているんだと思います。
取材・文:松崎愛香 写真:村重杏奈