「添い遂げる」が、今の目標

── 現在の生活はいかがですか?
木村さん:毎日2時間、夫と一緒にウォーキングするのが日課です。夫が心肺停止で倒れたことがあって、そのリハビリで始めたのがきっかけなんですが、今では2人の大切な時間になっています。歩きながらあれこれ話して、本当に話が尽きないんです。笑いのツボも、ものを見たときの感想も一緒なんですよね。2人とも経験を重ねて、いろんなことを学んで、ちょうどいいタイミングで出会えたんだと思っています。だから今の目標は、このまま穏やかに歳を重ねて最後まで添い遂げること。そのために私も仕事をもっと頑張りたいと思っています。尊敬し合える関係でいたいですね。
── 結婚詐欺にあった当時の自分に言えることはありますか?
木村さん:もっと早くまわりにSOSを出せばよかった。「困っている」「悩んでいる」と言えばよかったということ。私は小さいときから、自分でなんとかしなきゃと思うことが多かったんです。だから、ひとりで抱え込まずに周囲に助けを求めていいんだよって。
それと、「未来にそんなに焦らなくてもいいよ」って言ってあげたいです。今やることを一生懸命やれば、道はおのずと開けていきます。私は未来が見えなくなって、結婚にある種、逃げのような気持ちを抱いていた時期もありました。でも、実際は悩みながらも働いてきちんと自分の道を切り開いていたんです。だから、焦る必要なんてなかった。
── そうですね。
木村さん:その後も働き続けていますが、おかげで自立する力が身につきました。大変なときも歯を食いしばって笑顔でいた経験が、自分を強くしてくれたと思います。今では何事にも動じないようになりました。これも経験を重ね乗り越えてきた私だけの強さなのだと思います。それから、「絶対に書類に簡単に判を押しちゃダメだよ」って。全部、あの頃の自分に伝えてあげたいですね。
取材・文:大夏えい 写真:木村郁美