「生き地獄でも生きて返すしかない」。テレビ局の看板アナウンサーとして活躍しながら、結婚相手に騙され、3億円以上の借金の連帯保証人になってしまった木村郁美さん。借金の取り立てに追われ、結婚相手は詐欺容疑で逮捕され、ようやく離婚が成立するも、残ったのは多額の借金でした。

頭によぎる自己破産「もう消えてしまいたい」

木村郁美
TBSの看板アナウンサーとして人気を博した木村郁美さん

── 木村さんは、当時結婚をしていた男性に騙され、約3億の借金の連帯保証人になりました。離婚が成立しても、元配偶者の連帯保証人の契約は残ったんですね。

 

木村さん:そうなんです。離婚すれば連帯保証人も免除されると思っていたんですが、そんなことはないんですよね。弁護士さんからは自己破産を勧められました。ただ、現役のアナウンサーとして自己破産することにどうしても踏み切れなくて…。誰にも迷惑をかけたくないという気持ちも強かったです。

 

── どうやって返済していったのですか?

 

木村さん:何も説明しないまま私に判を押させた金融機関にも問題がありました。弁護士さんがそういったやりとりを重ねながら、債務整理をして返済額をかなり減らしてくださったんです。そこからはもう、「返すと決めたら返す」だけです。もともとお金をあまり使わないほうなんですが、さらに何も買わなくなりました。洋服も必要最低限。食べることが大好きなのに、好きなものが気軽に食べられない時期が続いたのはきつかったですね。働いてはコツコツ返す日々を繰り返しました。

 

生き地獄でも生きて返していくしかないと腹をくくって。どんなにつらくても、仕事の現場では笑顔を作って立ち続けました。

 

── 当時はどのような精神状態でしたか?

 

木村さん:淡々とやるしかないと自分に言い聞かせていたんですけど、テレビで笑っている人を見るだけで、「なんで私だけこんなに不幸なんだろう」と、涙が止まらない日もありました。

 

そうこうしているうちに、ある日から「消えてしまいたい」と思うようになりました。「80歳を過ぎても、借金をずっと返し続けているんじゃないか」という気がして。目の前が真っ暗になったんです。その気持ちを誰かに話したわけではなかったのですが、私の様子を見て何かを感じた弁護士さんが、「万が一、木村さんがいなくなっても、借金はなくならずにご両親が背負うことになりますよ」と言ってくれたんです。

 

もちろん実際はそんなことはないんですが、その言葉で「私がいなくなっても何も解決しない」と目が覚めました。あの言葉がなかったら、どうなっていたかわからない。本当に感謝しています。

 

── 自力で借金を完済し終えた日のことを教えてください。

 

木村さん:返し終わったら「やったー!」と晴れやかな気持ちになると思っていたんです。お祝いをしようという気持ちでした。でも実際に、最後の返済日にATMにお金を入れた瞬間、足元から崩れ落ちて涙が止まらなくなってしまって。ようやく終わったという思いと、ずっとふんばってきた気持ちがあふれ出ました。ずっと感情を押し殺して淡々と返し続けてきたぶん、一気に溢れ出たんです。呼吸困難になるくらい嗚咽して泣きました。