「介護は禊なのか」オラキオが出した「答え」

── 介護の啓発活動も行っているそうですね。講演会ではどのような話をされるのでしょうか?
オラキオさん:将来的には「介護」を小中学校の必須科目にしてほしいと思っていて、若いうちから介護のことを知ってほしいという話をしています。日本はもう20年近く前から超高齢化社会を迎えているし、ヤングケアラーの問題も表面化してきている。突然、介護が必要な状況になる機会は誰にでもあるんです。
介護がまだ先の将来の話だと思っている小中学生だって例外ではない。いざその環境になったときに介護の知識があるのとないのとでは全然、違うんです。知識があれば外部に助けを求めることもできるし、介護をプロに任せる、介護が必要な家族を施設に預けることに罪悪感を感じないでほしいということも伝えています。
── 介護は家族がするものだ、という風潮が強い年代や地域もありますよね。
オラキオさん:介護をプロに任せるのは責任逃れでも何でもありません。家族だと介護する方もされる方も気を遣い合ってお互いが疲弊していくので、要介護度が重くなれば施設に預けるほうがお互いのためだと思います。もちろん、お金や入所待ちの課題は社会の仕組みとしてまた別の問題ですが、人材が足りていない部分は僕にもできることがあるんじゃないかという思いでいろんな活動をしています。
── オラキオさんが介護に関わるきっかけとなった「芸能人がスキャンダルの禊で介護」の風潮、実際に介護職を経験してから、感じ方は変わりましたか?
オラキオさん:介護って禊でちょっとできるような仕事じゃなくて、実はクリエイティブで人間力が試される仕事でした。基本の知識があっても、介護する相手によってケアの方法やコミュニケーションの取り方は全然違い、そのぶんやりがいがある。ボランティアじゃなくて、きちんとした対価をいただいて責任をもって取り組む仕事ですよね。
「大変そう」「きつそう」というイメージがあるから禊という発想になるのかもしれないけど、もっと「介護っていいね」「介護士カッコいいね」となるような世の中になってほしいです。僕ひとりの力じゃ小さくて何ともならないけど、発信だけは続けたいです。
取材・文:富田夏子 写真:オラキオ