負の連鎖を断ち、次の世代に繰り返させないために

── 追い詰められた状況で、横井さんが踏みとどまれたのはなぜだったのでしょうか。

 

横井さん:息子が3歳のときに初めてママ友ができました。「ご飯をごちそうしてあげるから家においで」「何かあったらすぐ言って」といろいろ気をかけてくれて、すごく嬉しかったんです。

 

それまで私自身、10代で子どもをひとり抱えて、「強くならなくては」と肩肘を張っていました。「弱音を吐いたらいけない」「助けてと言ってはいけない」、そう思うほど、余計に助けを求められない状態になっていたんです。

 

でも、息子のためにも、助けを求めることは必要なんだと思えるようになりました。周りの大人が「どうしたの?」と声をかけてくれる、たったそれだけで救われることがある。まず話を聞いてくれる人がいることが大事なんだと実感しています。

 

── 同じことを次の世代に繰り返させない。負の連鎖を断つという思いが、息子さんへの性教育につながっているそうですね。

 

横井さん:息子には、逃げてしまった相手のようには絶対になってほしくないので、「女の子に優しくできる男でありなさい」と常に伝えています。日本では性教育を学校で十分に教えてくれないので、「私がやるしかない」と思い、3歳からオブラートに包まない性教育を始めました。

 

生理の仕組みや、赤ちゃんができることは女性にとって大きなリスクであり、母子ともに命が関わる危険があることを伝えています。その結果、小学2年生のときに息子がみずから「僕には知識もないし、相手が嫌がっているかもしれないし、命に関わることがあるかもしれないから、高校生になっても女の子とはそういう行為はしないよ」と言っていました。

 

── 息子さんに、父親のことはどのように伝えているのですか。

 

横井さん:事実として伝えています。「ママはそういう行為はしたくなかったけれど、パパは勉強不足で、ママが嫌がっていると分からなかった。責任が取れないのに逃げちゃったんだよね」と。悪く言ったところで何も生まれません。でも、知識がないことで起きてしまったことを隠さずに伝えることが、息子にとって一番の教育になると信じています。

 

── 同じことを次の世代に繰り返させない。負の連鎖を断つという思いが、息子さんへの性教育につながっているそうですね。

 

横井さん:そうですね。また、私の発信がいい例にも悪い例にも参考にしてもらえたら、と思っています。

 

取材・文:西尾英子 写真:横井桃花