「皺もいい味」と言える女優でありたい

── 年齢とともに演じる役柄が変わることへの葛藤はありましたか?

 

財前さん:オファーされる役柄が切り替わった時期はありますが、悩むことはまったくなかったですね。若い頃から「皺もいい味になる女優さんになる」ことがひとつの目標でした。武士の妻でも農民でも、どんな役でも演じていきたい。年齢を含めたその人の人生を演じられるほうが、ワクワクします。

 

── 移住された地元・大分では農業もされていますよね?俳優という仕事柄、肌のケアはどうされているのでしょうか?

 

財前さん:ほぼしてないです(笑)。紫外線がお肌の大敵だと言われていますが、大分では日焼け止めを塗って農業をするくらい。事務所の人には「今日は取材なので、さすがにメイクさんは入れましょう」と忠告されることもありますが、見た目にはあまり気を遣っていません。

「自分で自分の食い扶持を賄う」という強さ

財前直見
俳優業を続けながら、地元・大分では畑仕事に汗を流す。採れたきゅうりを手に

── 俳優という華やかな世界にいながら、大分で土に触れる生活を続けています。その根底にはどんな価値観があるのでしょうか。

 

財前さん:昔からなんですが、容姿やお金などのステータスに興味がないタイプでした。変わっているんだと思います。お金を持っている人よりも、自分の食べるものを自分で作れる人のほうが最終的には強いと思ってますし。だって、何かあっても生き残れるじゃないですか(笑)。「自分でちゃんと生活できる人が強い」という価値観でずっと生きています。

 

── 歳を重ねて気付いたことはありますか?

 

財前さん:今年で60歳になりましたが、やっぱり最後は「人間性」です。歳を重ねるほど、表面的な笑顔だけではごまかせなくなります。本当に心から笑っているのか、本音はどうなのか、取りつくろえなくなってくる。バレちゃうんですね。

 

だからこそ、心から笑えるように毎日を満たしたい。もし、つらい時は「つらい」と素直に出せることも、立派な人間性だと思うんです。