「一人の人間として、誰かの力になりたい」。10年ぶりの日本で描く未来

── 結婚14年目、日本・アメリカと拠点を変えながら駆け抜けてきた日々を振り返って、今どう思われますか?

 

早穂さん:アメリカでの生活を経験して、家族を大切にする気持ちはさらに強くなったように思います。向こうでは出産に家族が立ち会うために休暇を取ることや、職場に家族を連れてくることがとても自然なこととして受け入れられていて、家族の時間を大切にする文化を強く感じました。夫も「Happy wife Happy life」というアメリカの格言のような言葉を周囲からよく聞かされていたようで、ことあるごとに感謝の気持ちを伝えてくれるようになり、私たち自身も家族の絆がより深まっていったと思います。

 

── 2026年から東北楽天イーグルスに所属。10年ぶりに帰国されましたが、早穂さん自身の気持ちの変化はありますか?

 

早穂さん:以前日本にいたときは、奥様のなかでも比較的若い立場で、球場に行くと先輩の奥様を見つけてご挨拶していたことを思い出します。きっと今のチームではかなり年上のほうだと思いますが、なにしろ10年ぶりなので、浮かないように若い方にいろいろ教えていただきたいと思います。

 

夫も久しぶりに日本でプレーすることになりますが、まずは怪我なく、好きな野球を思い切り楽しんでほしい気持ちが一番ですね。これまでと変わらず、家族で支えていけたらと思っています。

 

── 早穂さんも10年ぶりの日本での生活が始まりました。自身が今後やっていきたいことはありますか?

 

早穂さん:夫が現役でプレーしている間は、今までと変わらずにサポートすることを大切にしていきたいです。そのうえで将来的には、以前から関心のあったボランティア活動や社会貢献につながるような取り組みにも少しずつ関わっていけたらと思っています。ひとりの人間として、誰かの力になれるような活動ができたら嬉しいですね。

 

 

誰よりも近くで見てきたからこそ、言葉にならない「異変」に気づき、迷わず行動に移す。その決断力が、ひとりのアスリートを、そしてひとつの家族を救いました。

 

皆さんは、大切な人が発している「小さなSOS」に気づいたとき、すべてを後回しにして駆けつける勇気を持てますか?

 

取材・文:松永怜 写真:前田早穂 撮影:矢島太輔