「なんでうまくいかないんだろう」。メジャー移籍直後、早穂さんを待ち受けていたのは、理想とはほど遠い欠陥住宅での過酷な現実でした。2歳の娘を抱え、水浸しの部屋で修理業者との戦いに追われる日々。言葉も通じない異国で、遠征がちな夫を支えながら「早く日本に帰りたい」と独り泣いたあの日、彼女を支えたものとは。華やかな舞台の裏側で、一人の母親として居場所を築き上げた「マエケン家の10年」を伺いました。
100か所の欠陥、水浸しの部屋。理想を打ち砕かれた「どん底」の渡米1年目
── 2016年、前田健太さんのメジャーリーグ移籍に伴い、当時2歳だった娘さんと共にロサンゼルスへ。華やかな新生活の幕開けかと思いきや、早々に過酷な試練に見舞われたそうですね。
早穂さん:サンタモニカで購入した新居に住むと、修繕が必要な箇所がいくつも見つかりました。お湯が出ない、床や壁の傷が気になる、なかでも大変だったのは配管トラブルで水が逆流して、部屋が水浸しになったことです。
夫の夢を追いかけてアメリカに来たはずなのに、最初は想像していなかった出来事が続きました。毎日何組もの修理業者の方が土足で家に出入りするので、掃除をしてもキリがないほど汚れてしまって。また、約束の時間が前後したり、連絡もなくキャンセルされることも頻繁にあって、慣れない環境のなかでの対応に疲弊していきました。後から、アメリカではこうしたことは日常茶飯事で、新築より、数年住んで状態が落ち着いた家を選んだ方が良い」と聞いて、住宅事情の違いを実感しました。
── 当時、お子さんはまだ2歳。一番手がかかる時期ですよね。
早穂さん:そうなんです。娘が「ママ」と甘えてきても、業者の対応に追われ、思うように遊んであげられないことがあって、娘には申し訳ない気持ちになっていました。
同時に今後入園する幼稚園の見学や面接、書類のやりとり、入園前に病院での予防接種や健康診断なども英語でこなしました。私にとってはすべてがはじめて。スムーズにいかないことが多く、心身ともに少しずつ疲れが溜まっていったように思います。