「右から左へ受け流す」のブームが去り、東京では「終わった人」扱い。一時はトレードマークのひげを剃り、白いスーツを脱ぎ捨ててまで現状を打破しようとしたムーディ勝山さん。しかし、たどり着いた現在地は、20年前を知らない若者たちがグッズを求めて大行列を作る、予想もしない光景でした。「一発屋」という言葉を十字架から財産へと変えた、20年目の境地を伺います。

「誰が買うねん!」自虐を裏切った渋谷の大行列

── 2006年ごろ「右から左へ受け流す」のネタで大ブレイク。その後、一発屋のレッテルを貼られますが、約20年が経ち、最近はインスタグラムにアップしていた写真のグッズ販売が大人気です。昨夏には、東京のモディ渋谷でポップアップショップも開催されたそうですね。

 

ムーディさん:最初にお話をいただいたときは、「今、誰が僕のグッズなんて買うねん!」と本気で思いました。でも、担当者の方がずっと僕のインスタを見てくれていたんですね。「万が一売れなくても、ムーディさんの作品が素晴らしいことを伝えたい」と熱く語ってくださって。 

 

いざ始まると、会場の外の非常階段まで続く大行列。当時のブームを知らない若い子たちまで並んでくれました。「ここは本当に2025年なのか…?」と思ったほどです。結果的に、想定していた数字より大幅増の売上だったようです。

 

── 大成功ですね。そもそもインスタはどんな経緯で?

 

ムーディさん:7年前、プロカメラマンの大竹宏明さんと出会ったのがきっかけです。それまでは漠然とSNSを更新していたのですが、もっとテーマを明確にしたいなと思って。それを何気なく発信したところ、大竹さんから「ムーディ勝山さんを撮りたいです」と、連絡をいただきました。街中で僕が白スーツで佇んでいると、それだけでシュールな光景になるんです。それが面白くてインスタにアップしたところ、話題になりました。

 

ムーディ勝山
人気の「ムーディコーラス隊」はウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウエスティ)という犬種の犬

さらに「白いスーツのおじさんと白い犬が一緒に並んでいたら面白いかも」と、そこに白い犬(ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア)が「ムーディコーラス隊」として加わって。大竹さんの知り合いが飼う犬たちだったんですが、おかげで犬好きの方にもファン層が広がりました。僕がブレイクしたのは20年前のこと。それが、インスタや犬という新しい要素と混ざり、再び誰かを笑顔にできています。本当に感慨深いです。