生まれ変わっても育ての親の子になりたい

── つらい経験になってしまった生みの母親からの手紙。その後、生みの母親と会うことはあったのですか?

 

志村さん:一度も会ったことはありません。でも、育ての父は、私を生みの母に会わせたいとずっと考えていて、今年のお正月にも「会ってみたら?」と言われました。育ての父は、8か月で僕を特別養子縁組として受け入れたとき、生みの母から「お願いします」と手渡しで僕を託されたので、思い入れがあるようです。育ての母は、会っても会わなくてもどちらでもいいという感じです。

 

── お父さんは律儀な方ですね。ところでお正月と言えば、親戚と会う機会もあるかもしれませんが、親戚の皆さんは志村さんたちが養子であることをどのようにとらえているのでしょうか?

 

志村さん:親戚一同も、私たち兄妹も、養子であることをまったく気にしていません。むしろ、私たちが自分たちだけ育ての親の一族の誰とも血がつながっていないことを、自虐ネタにして笑ってるくらいです。まわりは苦笑いですけど(笑)。日常生活で、自分が養子だと意識することはなく、困ったことも思い浮かびません。もし、家庭内に両親と血のつながったきょうだいがいたら違いを感じたかもしれませんが、わが家は兄妹ともに養子だったので違いは感じませんでした。

 

しいて挙げるなら、学校の三者面談時に、親が先生に「養子です」と伝えるのを聞いて、「こういう場でわざわざ伝えることなんだ」と、感じた程度です。あとは、養子仲間とのYouTube番組「Origin44チャンネル」の企画で戸籍謄本をとりにいくと、実際に「養子」と書いてありました。でも、そのくらいです。養子だということは、当事者の私にとっては特別なことではないんです。

 

── 物心つく前から養子だと言い聞かせて育てたなど、育ての親の努力や子育ての姿勢がすばらしいのだと思います。

 

志村さん:たしかに、育ての親は、僕から見ても素晴らしい両親だと感じますし、生まれ変わっても彼らの子どもになりたいですね。

 

取材・文:岡本聡子 写真:志村歩