「子どもの人生のハンドルを親が握る権利はないんです」。3度の離婚を経て、父の違う5人の子を育て上げたペピーさんの信念は、徹底して「子どもを管理しない」というものでした。個々の人間性を信じ、大人の都合を押しつけない。そんな教育の中で育った子どもたちには、反抗期すらありませんでした。管理社会の対極にある、愛と信頼で結ばれた子どもの育て方の真髄に迫ります。

「勉強しなさい」とは言ったことは一度もない

吉村ペピー
気のおけない友人と食事に出かけたときのぺピーさん

── 3度の結婚と離婚。子どもを連れて日本やスペインで暮らすなど、波乱万丈な人生を送りながら、5人の子どもをパワフルに育ててきた城田優さんの母・ペピーさん。子育てでは、一般的な常識にとらわれない「ペピー流」スタイルを貫いてきたといいます。成績や勉強にもいっさい口を出さない、通信簿さえ一度も見なかったと聞きましたが、本当ですか?

 

ペピーさん:本当ですよ。通信簿の数字の評価で子どもの何がわかるのか、私にはピンとこなかったんです。家でのふるまいを見ていれば、子どもが今どんな状態で、人として正しい方向に向かっているのか、自然とわかるでしょう?だから学校の評価に振り回される必要はないと思っていました。学校の時間は、子どもたち自身の世界ですから、彼らと教育のプロである先生に任せます。勉強や宿題も私から「やりなさい」と一度も言ったことがありません。

 

── 「勉強しなさい」と言わないのは、親として勇気がいるように思えますが…。

 

ペピーさん:親が押しつけた勉強は、後になって「本当はこんな道を選びたかったわけじゃない」と後悔につながることがあると思うんです。

 

たとえば長男は小学生のころ、宿題が大嫌いでプリントをベッドの下に隠すほどでしたが、「やらない理由を自分で先生に説明できるなら何も言わないよ」と任せていました。すると、中学生になってから急に勉強に興味を持ち、留学して大学院まで進んだんです。親が管理しなくても、子どもには子どものタイミングがあって、スイッチが入ったときに動き出すと実感しました。だからテストや通信簿の結果でご褒美をあげるようなこともしません。大人の都合を押しつけると、子どもの心が迷子になりますから。

 

── 家庭ではどんなことを大事にしてきたのでしょう。

 

ペピーさん:「なまけぐせ」をつけないようにするのは親の役目だと思っています。といっても、特別なことではなく、生活の中で当たり前のことを自分でやらせるだけです。

 

わが家では6歳になったら自分で自分が使ったお皿を洗う。下着も自分で洗って干す。生活の責任を本人に持たせてきました。学校に送り出したら、そこからは子どもの世界です。「任せたよ」と伝えれば、子どもも「信頼されているんだな。任された以上はちゃんとやろう」と考え始めます。子ども扱いはしません。子どもの勉強は親の勉強じゃないし、子どもの人生も親の人生じゃない。入る会社だって親には関係ありません。

 

子どもの人生のハンドルを親が握る権利はないんです。もちろん、子どもが頼ってきたり「勉強を教えて」と言えば向き合いますが、こちらから干渉はしません。