「人生100年時代、還暦はまだ折り返し地点──」。そんな言葉とは裏腹に、日本社会では中年以降の「恋活」には高い壁があるそう。NYでのつらい離婚を経験後、日本の恋愛リアリティ番組にも挑戦したRyo Hayashiさん。人生の再構築に挑むなかで感じた難しさとは。
米国同時多発テロで夫を亡くした女性との出会い

── 大手商社を退職。単身渡ったニューヨークでスタンダップコメディアンをされていたRyoさん。現地で15年間を共にした奥さまがいらっしゃったそうですね。
Ryoさん:もともと出世に興味がなく、会社という組織の中では自分のやりたいことができないと感じて大手商社を退職。ニューヨーク大学で美術修士を取得したころには、もう38歳になっていました。「ずっとこのまま1人なのかな…」と思っていましたが、それでも希望は捨てていなかった。そこで当時、黎明期だった恋人マッチングサイトに登録して出会ったノルウェー人の女性と恋に落ちました。
── どんなところに惹かれましたか?
Ryoさん:素朴なところが好きになりました。当時のニューヨークで出会ったアメリカ人女性たちは、とても苦労しているように見えました。「セクシーでいなきゃならない」「パートナーがいなくてはならない」「素晴らしいキャリアでなくてはならない」「いい母親でなくてはならない」と、ギリギリで頑張っている感じだったんです。
そんななか、彼女は自分に無理せず日々人生を楽しんでいるように見えました。それに、前の旦那さんを亡くしているのに関わらず、です。
── 前の夫を亡くした?
Ryoさん:最初に会う約束をした日、彼女を自宅に迎えに行ったときのことです。呼び鈴を鳴らすと、インターフォンから「上がって来れば?」と言われたので上がっていくと、ドアが開いていて家の中がチラッと見えました。すると、そこら中に男性の遺影のような写真が飾ってあったんです。「この人は誰?」と聞くと、「前の夫なの。9・11で殺されちゃったのよ」って。
── そうだったんですね。つらい過去を持つ彼女との恋。迷いはありませんでしたか?
Ryoさん:ありませんでした。ただそのときの彼女は、同時多発テロから1年ほどしか経っておらず、まだ抗うつ剤を飲んでいました。付き合っていくなかで彼女は、「私が受けたトラウマのせいで迷惑をかけるかもしれないけど、立ち直るために寄り添ってくれて本当にありがとう」というメッセージをもらったこともありました。結婚して最初の10年間はうまくいっていました。娘が2人生まれて、お互いにとても幸せでした